中国、希土類の輸出規制品目を追加
今月末のAPEC首脳会談を前に交渉カードを積み上げ

米国が大豆輸出などで神経を尖らせる中、中国が今度は希土類に関する新たな輸出規制を相次いで打ち出した。今月末の米中首脳会談を控え、双方が交渉カードとなる措置を積み重ね、駆け引きを本格化させている。
中国商務部は9日(現地時間)、希土類に関する輸出統制措置を拡大すると発表した。「海外希土類物資輸出統制決定」によれば、海外で生産された戦略鉱物製品のうち、中国産希土類が0.1%以上含まれるものや、中国の技術が用いられた製品は、民間・軍双方の当局から輸出許可を受ける必要があるという。対象となるのは、今年4月に規制品目として指定されたサマリウムやジスプロシウムなど7種類の元素と、それらを含む合金・酸化物である。また、希土類の採掘や精錬・分離、磁性材料の製造といった2次資源リサイクル技術も新たに統制対象へ加えられた。
特に半導体やAI、軍需といった先端産業分野については個別審査が義務付けられ、海外の軍需企業や輸出規制リスト掲載企業、その子会社への輸出申請は原則として認めない方針を明記した。
希土類を戦略物資として「武器化」する動きをさらに強める今回の措置は、米国との通商交渉を前に交渉力を高める狙いがあるとみられている。中国はトランプ政権2期目の発足後、最大55%の関税を課されると、それへの対抗策として4月に希土類輸出規制を導入した。希土類は半導体や電気自動車、軍事技術など重要産業に不可欠な17の元素で、中国はその精製・加工の約90%を担う圧倒的な供給国だ。
中国の輸出規制は米国の防衛産業や自動車企業などに直ちに打撃を与え、両国の貿易戦争は現在「休戦状態」となっているが、交渉は繰り返し続けられている。専門家の間では、両国の通商交渉において希土類と半導体が最大の難題になるとの指摘が出ている。
米クリストファー・ニューポート大学の政治学者で『グローバル・チャイナ』編集長のスン・タイイ氏は先月、『CGTN(中国国際電視台)』への寄稿で「米国は次回交渉で希土類鉱物や磁石問題に焦点を当てたいと考えているが、米国が半導体など敏感な分野で譲歩しない限り、中国が希土類で大幅に引き下がる可能性は低い」と指摘している。
海外メディアも、中国の追加規制は米国との交渉力を高める布石だと分析している。コンサルティング企業「ユーラシア・グループ」の中国部門ディレクターであるワン・ダン氏は、「中国政府が新たな統制措置を導入したのは、首脳会談を見据えた戦略的な動きだ」とし、「希土類の統制を強化することで、関税や半導体、その他技術分野で米国から譲歩を引き出そうとしている」と述べた。
ドナルド・トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は今月31日から韓国・慶州(キョンジュ)で開催されるアジア太平洋経済協力(APEC)で会談に臨む予定だ。
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