
正常飛行中に非常発電装置「RAT」が作動 操縦士ら「深刻な懸念」
6月にエア・インディアのボーイング787旅客機が墜落し260人が死亡した事故の後、同社の同型機で非常発電システムが異常作動する事態が発生し、現地当局が調査に乗り出した。
ロイター通信とブルームバーグ通信が7日(現地時間)に報じたところによると、インド民間航空総局(DGCA)は、通常運航中のエア・インディア機で非常発電装置「ラムエア・タービン(RAT)」が作動した経緯について調査を進めているという。
DGCAは、今回のRAT作動に関してボーイング社に追加情報を求めたとされる。
問題の機体は4日、インド北部パンジャーブ州アムリツァルを出発し、英国バーミンガムに向かっていたエア・インディアAI117便。バーミンガム空港への最終進入の際にRATが作動した。
RATは、緊急時に作動する補助発電機として搭載される小型プロペラで、エンジン出力が低下したり、電力や油圧システムに異常が発生した際に自動的に展開し、航空機の操縦系統などに必要な電力を供給する仕組みだ。
エア・インディアによると、該当機の点検を行った結果、電力・油圧系統ともに異常は確認されず、機体は目的地に安全に着陸したという。その後、安全確認のため一時的に運航を停止したが、現在は再び運航を再開している。
しかし、6000人以上の操縦士が所属するインド航空操縦士協会は「正常飛行中の航空機でRATが作動するのは極めて深刻な事案だ」として、インド国内で運航中の同型機すべてに対する徹底調査を当局に求めた。
同協会のチャランビル・ランダワ会長は「エンジンや油圧・電力系統に異常がない状態でRATが作動したという報告はこれまでに聞いたことがない。詳細な調査が必要だ」と強調した。
なお、6月12日にはインド西部グジャラート州アーメダバード空港を離陸したエア・インディアAI171便が離陸直後に墜落し、乗客ら260人が死亡している。事故当時、エンジンへの燃料供給が途絶えたことでエンジンが停止し、同機のRATは正常に作動していたことが確認されている。
コメント0