
台湾の外交・安全保障専門家は、10年後の2035年に中国の台湾侵攻の可能性が高いと分析した。中国が推進している国防改革が完了し、具体的な侵攻準備を整えるにはそれだけの時間が必要であるというものである。これは、中国の習近平国家主席の政権3期目が終了する2027年に台湾侵攻の可能性が高いとする米国情報当局の分析とは異なる見解である。
8日、台湾の中央通訊社によると、国立政治大学国際関係研究センター主催の安全保障座談会において、台湾国防部のシンクタンク・国家安全研究院(INDSR)の亓樂義研究員は「中国軍の台湾侵攻リスクが高まる時期は2035年であるべきだ」と主張した。習主席が軍の現代化を目指す三段階発展戦略のうち、第二段階が完成する2035年に、軍改革の成果が成熟期に入るためであるという。
また、建軍100周年を迎える2027年までに軍の現代化転換を目指す取り組みについては、「外部攻撃への備えというよりも内部能力の強化を目的としている」と解釈された。2027年までに連合作戦に向けた指揮体系の転換と新型兵器の実戦運用準備を完了させるのは困難と見られている。
淡江大学・国際事務戦略研究所の林穎佑教授も、2017年の中国軍学校改革以降に育成された将校たちが2035年頃に現場指揮官へ昇進すると指摘しており、次世代の訓練を受けた人材が核心幹部に就く2035年を戦力完成期に捉えるべきだと述べた。
専門家らは、最近の中国空軍による台湾近海での訓練が、質的にさらに高度化していると分析している。国防大学中共軍事事務研究所の馬振坤教授は「心理的混乱を狙ったグレーゾーン戦術から実戦準備段階に転換している」と評価した。林教授は「かつては量で圧倒する戦術を展開していた中国軍が、質を重視した新たな脅威を加えている」とし、「空中と海上の能力を同時に発揮して台湾を圧迫しようとしている」と指摘した。
馬教授によれば、今年9月、中国空軍の中距離爆撃機「H-6」が台湾海峡空域で活動した日は14日に達したという。馬教授は「H-6爆撃機が、台湾島内の主要標的を精密打撃する『外科的』な作戦能力を強化するための訓練を行っていると推察される」と分析した。これまで西太平洋や台湾南西部空域で主に確認されていた中国爆撃機が、台湾海峡空域に活動範囲を拡大した点も懸念される。
台湾専門家の分析は、8月に台湾国防部が発表した「国防報告書」の内容と一致している。台湾国防部は、中国軍が2035年までに全面的な軍事現代化を達成し、台湾に対する封鎖戦力を整えることを目標にしていると見ている。また、現在国際水域とされる台湾海峡を事実上中国の管理下に置く「内海化」を達成するため、第二列島線(日本・本州ーサイパンーグアムーインドネシア)以西全域で軍事的優位を確保しようとすることが予想される。
台湾の頼清徳・総統は、7日に米国のの保守系ラジオ番組「The Clay Travis & Buck Sexton Show」に出演し、「(米国のドナルド・トランプ大統領と面会する機会があれば)習主席が台湾海峡はもちろん、南シナ海や東シナ海での軍事配備を拡大している事実に注目するよう提案したい」と述べた。これは、中国が軍事訓練を近海からインド太平洋地域に拡大しているとの指摘である。
頼総統は「中国の空母が第二列島線を越えて移動しており、北方艦隊が日本周辺を1週間航海したこともある」とし、「トランプ大統領が習主席に台湾侵攻を永久に放棄させることができれば、ノーベル平和賞受賞者になるだろう」と述べた。
これに対し、8日、中国国務院台湾事務弁公室の陳斌華報道官は「彼(頼総統)は、原則を欠いた外国勢力への迎合と際限なき『売国』行為により台湾国民の血と肉を浪費し、自らを外国勢力に引き渡した」と厳しく非難した。
コメント0