再燃する米中関税戦争
米国、11月から追加関税で対抗へ
中国「威嚇には屈しない、闘いも恐れない」
トランプ氏「会談の有無にかかわらずAPEC出席」
習氏との「慶州会談」の可能性も残る

米国と中国の間で一時沈静化していた関税戦争が、再び激しさを増している。ドナルド・トランプ米大統領が、中国による希土類の輸出規制強化に強く反発し「100%の追加関税」を予告すると、中国側は「闘いを恐れない」と真っ向から応酬した。今月末、韓国・慶州(キョンジュ)で開かれるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議を前に、双方が圧力の応酬が続いている。
中国商務省は12日の声明で、「中国は9日に希土類などの物資に対する輸出規制措置を発表したが、これは法規に基づく正当な行為だ」と主張。「ことあるごとに高関税で威嚇するのは、中国と共存する正しい道ではない」と米国を批判した。さらに、「関税戦争に対する中国の立場は一貫している。我々は闘いを望まないが、恐れてもいない」と強調した。米国の姿勢についても「典型的な二重基準だ」と非難し、「米国が輸出規制リストに載せている物資は3,000件を超えるが、中国は900件余りにとどまっている」と指摘した。
こうした中国側の反応は、トランプ大統領が10日(現地時間)、中国への100%追加関税を予告したことへの対抗措置だ。大統領は、中国による希土類輸出規制強化の発表を受け、「米国は11月1日から、中国に対して現在の関税に加えて100%の追加関税を課し、すべての重要ソフトウェアに対する輸出統制を実施する」と明言した。また、記者団とのやり取りでは、「韓国で開かれるAPEC首脳会議で習近平中国国家主席と会談する予定だったが、その必要はなさそうだ」と述べた。ただし、APEC会議には出席する考えを示した。
トランプ大統領が希土類の輸出規制に敏感に反応した背景には、国防産業や半導体、電気自動車など、米国の戦略的中核産業が打撃を受ける恐れがあるためだ。希土類はジスプロシウム(Dy)やイットリウム(Y)など、地球上で希少な金属元素であり、戦闘機や自動車、電子機器の製造に欠かせない重要素材である。中国は世界の希土類生産の約70%、精製・加工では80%以上を占めており、米国も中国への供給網に大きく依存しているのが実情だ。
一方で、トランプ大統領がAPEC会議への出席を明言し、習主席との会談の可能性を完全には否定しなかったことや、中国側も「闘いは望まない」と発言していることから、対立の拡大を避ける姿勢もうかがえる。このため、今月末に慶州で開かれるAPEC首脳会議で劇的な合意に至る可能性もあるとの見方が出ている。『ロイター通信』は、「慶州APECを機にトランプ大統領と習主席の首脳会談が実現すれば、前向きな成果が得られる可能性が高いと専門家は見ている」と伝えた。
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