ロシア、核弾頭搭載の可能性にも警戒強化

トランプ米大統領がウクライナへのトマホーク巡航ミサイル支援の可能性を示唆したことを受け、ロシアは12日(現地時間)、「深刻な懸念を表明する」とし、「戦争が劇的に激化する局面に入った」と強く警告した。プーチン露大統領もこれに先立ち、「トマホーク支援はロシアと米国の関係を破綻させる」と激しく反発している。
今年7月に米国がパトリオット防空システムを支援した際と比べ、今回はより強硬な反応となった。防御用のパトリオットとは異なり、最大射程約2,500キロの長距離巡航ミサイル・トマホークは、ウクライナからロシア本土を直接攻撃できるため、首都モスクワまでも射程に入る。ロシアは特に、トマホークに核弾頭を搭載できる点を強く警戒している。
トランプ大統領、ゼレンスキー大統領と2日連続の通話

ロイター通信によると、イスラエル訪問のため大統領専用機エアフォースワンに搭乗していたトランプ大統領は同日、記者団に対し「ウクライナはトマホークミサイルの供給を求めており、我々はそれを保証しようとしている。これは一歩進んだ措置だ」と語った。
これに先立ち、ペスコフ露大統領報道官はロシア国営テレビのインタビューで、「トマホーク支援の問題は極めて深刻な懸念を引き起こしている」と述べ、「あらゆる面で緊張が高まっている」との見解を示した。
こうしたロシア側の反応は、トランプ大統領が6日、ホワイトハウスで「ウクライナへのトマホーク提供について一定の決定を下した」と明かした直後に起きたもので、ゼレンスキー大統領との電話会談が2日連続で行われる最中に発せられた。ゼレンスキー大統領は先月23日にトランプ大統領と会談し、ロシア本土を深く攻撃可能なトマホーク支援を正式に要請したとされる。
ゼレンスキー大統領は自身のSNSで、前日に続く追加通話の事実を公開し、「米軍と緊密に協力し、防空能力およびすべての防御システムを強化している。特にパトリオットをはじめとする防空システムや長距離攻撃能力も含まれる」と説明した。また「ロシアが米国によるトマホーク供与を恐れているのが分かる。そうした圧力こそが平和への道を開く」と強調した。
ロシア、「報復の可能性」も示唆

トランプ大統領はロシアの強い警告にもかかわらず、モスクワを直接攻撃可能な兵器支援を再び明言した。背景には、自らを「平和の仲介者」と称してきたウクライナ戦争調停の成果が芳しくない現状がある。今年8月、プーチン大統領およびゼレンスキー大統領との個別会談を通じて、ロシア・ウクライナ首脳会談の実現が一時近づいたものの、プーチン大統領の非協力により頓挫していた。
ロシア側は今回、トマホークへの核弾頭搭載の可能性を問題視し、報復を示唆した。ペスコフ報道官は「長距離ミサイルが接近しており、それが核兵器かもしれないと想像してみてほしい」と述べ、「我々はどのように対応すべきか、国際社会は理解すべきだ」と警告した。
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