中国のレアアース規制に対抗 主要産業の持分拡大と供給網の自立を推進
「産業政策の新時代」…自由市場から国家主導型戦略へ

ドナルド・トランプ米政権は、中国によるレアアース鉱物の輸出規制強化に対応し、米国内の重要戦略産業企業への政府関与を強化している。
これは、長年維持してきた「自由市場と開放的投資」に基づく経済原則からの脱却を意味し、「産業政策の新時代」への転換を示すものだ。一部では、中国の「国家主導型経済戦略」を模倣しようとする意図があるとの見方もある。
現地時間15日、米紙『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』によると、スコット・ベッセント米財務長官はCNBC主催の「Investing in America」フォーラムで、中国のような非市場経済に対抗するには産業政策を採用せざるを得ないとの考えを示した。
こうした産業政策の転換に踏み切った背景には、中国が最近、微量でもレアアースを含むすべての製品の国際取引に「新たな輸出許可制」を導入すると発表し、米中間の緊張が急速に高まったことがある。
この措置が今年末に施行されれば、自動車や半導体をはじめとする大半の製品で中国政府の許可が必要となる見込みだ。特に米国や欧州の防衛産業企業は依然として中国産レアアースへの依存度が高く、直接的な影響が懸念される。
これに対しトランプ大統領は、来月から中国製品に対して100%の追加関税を課すと警告し、習近平国家主席との会談予定をキャンセルすると表明した。
しかし、この発表でニューヨーク株式市場が急落すると、トランプ氏はSNSを通じ「心配するな、中国問題はうまく解決される」と発言し、トーンを和らげた。
ベッセント長官は中国のレアアース輸出規制に触れ、「米国の自給自足の必要性が一層明確になった。あるいは、同盟国と共に十分な供給網を確保すべきだ」と強調した。
トランプ政権は、国家安全保障に直結する主要産業分野の米国企業に対し、政府が直接出資し、生産方針や投資決定を統制する方針を進めている。これは、中国への技術依存を低減し、同国がこれを貿易交渉の切り札として利用するのを防ぐ狙いがある。
既にU.S.スチール、インテル、トリロジー・メタルズ、MPマテリアルズなど主要企業への政府出資を実現しており、NVIDIAやAMDには中国での売上の一部を政府に還元するよう求めている。
また、兵器や航空機、半導体など先端技術に不可欠な重要鉱物の確保競争で後れを取り戻すため、「主要鉱物備蓄」の構築を最優先課題として進めている。
スコット・ベッセント財務長官はさらに、米国が「戦略的に重要」と判断した7つの産業分野で、政府の介入と統制を強化する計画を明かした。特に国防産業を例に挙げ、米国政府が最大または唯一の顧客である企業が少なくないと指摘。これらの企業に対しては、自己株買いよりも研究開発(R&D)への投資を増やすよう政府が求めると述べた。
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