
米国のドナルド・トランプ大統領がウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との首脳会談を翌日に控え、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との会談計画を電撃発表した中、米・ウクライナ首脳会談でトマホーク・ミサイル支援が議論されるか注目されている。
海外メディアによると、トランプ大統領は17日(現地時間)ホワイトハウスでゼレンスキー大統領と首脳会談を行うという。ゼレンスキー大統領は前日ワシントンDCに到着し、会談準備に入った。会談の核心議題が「ウクライナへの軍事支援」である点で両首脳間に異論はないが、モスクワを攻撃可能な最大射程2,500kmの長距離巡航ミサイル「トマホーク」の支援が合意に至るかは不透明である。
特にトランプ大統領が首脳会談を翌日に控え、トマホーク支援問題についてやや後退した姿勢を示したことから、可能性が低くなったとの見方も出ている。トランプ大統領は16日、プーチン大統領との電話後、記者団に「米国にもトマホークが必要だ。我が国のために枯渇させるわけにはいかない」とし、「我々がこの問題について何ができるか分からない」と述べた。
また、クレムリン(ロシア大統領府)の発表によると、トランプ大統領は電話でプーチン大統領のトマホーク支援反対の立場を聞き、「当然考慮する」と答えたという。先月の国際連合総会で「支援が十分であれば(ウクライナが)戦争開始時点の国境を回復できる」と述べた後、12日にもトマホーク支援に言及し、ロシアを圧迫してきた立場から一歩後退した。
ガーディアンはこれについて「トランプ大統領は最近数週間トマホーク提供の可能性を繰り返し示唆していたが、プーチン大統領との電話後に見せた融和的な口調は(トマホーク)即時支援の可能性に疑問を投げかけた」と指摘した。さらに「トランプ大統領は過去にもロシア経済に強力な制裁を加えると期限を設けて公言したが、プーチン大統領と電話や会談をした後、立場を軟化させることが多かった」と付け加えた。
米国政治専門メディア「アクシオス」などによると、トランプ大統領の「枯渇懸念」発言も根拠のないものではないとみられる。トランプ政権が正確な数量を公開していないが、米軍の対外支援余剰分がトマホーク・ミサイル20~50基、ミサイルランチャー「タイフォン(Typhon)」2台に過ぎないという主張もある。
当初トマホーク支援合意を楽観視していたゼレンスキー大統領も、米ロ首脳会談計画の電撃発表に戸惑いを隠せなかったと伝えられている。

アクシオスは「ゼレンスキー大統領は最近数日間、トランプ大統領がトマホークを供給する意向があるという点に非常に楽観的だったが、トランプ大統領がプーチン大統領と電話し、欧州で最も反ウクライナ的なハンガリーで会うことになったという発表を聞いて驚いた」と報じた。
一方、キーウ・インディペンデントなどによると、武器支援以外にもウクライナ・ロシア平和会談、ウクライナのエネルギー安全保障強化なども会談の議題に上る見込みだ。ユリヤ・スヴィリデンコ首相、アンドリー・イェルマーク大統領首席補佐官などウクライナ政府高官らが会談3日前の14日に米国を訪れ、トランプ政権と議題を調整している。
イェルマーク補佐官は議題について「最前線の状況、我々の作戦計画、そして我々と米国側が平和プロセスの次の段階をどう構想するかなど(首脳間)電話で議論するのが難しい問題が多い」と述べた。ゼレンスキー大統領は特にトランプ大統領に、ロシアとベラルーシを除くすべての場所でプーチン大統領との対面会談に応じる用意があるという点を強調しているという。
ただし、トランプ大統領がゼレンスキー大統領との会談で前向きな発言をしても、前例を見ると今後の米ロ会談の推移に応じて立場を覆す可能性が高いという指摘が多い。ウクライナのヴォロディミル・アリエフ議員は「トランプ大統領の決定は、大抵ゼレンスキー大統領の説得努力とは無関係だ。トランプ大統領には確固たる信念がない」とし、「彼のどんな発言も最終的な立場として受け止めてはいけない」と述べた。
ブルッキングス研究所の研究員であるダニエル・ハミルトン氏(Daniel S. Hamilton)も「トランプ大統領は気まぐれだ。ウクライナへの強力な支援に向けて動いているが、まだプーチン大統領に実質的な圧力をかけてはいない」とし、米ロ会談に注目すべきだと見ている。
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