
米国商工会議所は16日(現地時間)、トランプ政権が専門職ビザ「H-1B」の発給手数料を従来の100倍にあたる10万ドル(約1,500万円)へ引き上げた措置は違法だとして、連邦政府を相手取り訴訟を起こした。
商工会議所は同日発表した声明で、「H-1Bビザ申請に課された新たな手数料は、移民法で定められたH-1Bプログラムの趣旨に反する」と指摘し、「この措置は法律上の根拠を欠き、米企業の国際競争力を損なう」と非難した。
H-1Bビザは科学・技術・工学・数学(STEM)分野などの高度専門職向けで、毎年8万5,000件を上限に抽選で発給されている。3年間の滞在が可能で、延長や永住権申請も認められる。
外国人労働者の制限を掲げるトランプ大統領は先月19日、大統領令に署名し、発給手数料をこれまでの1,000ドル(約15万円)から10万ドル(約1,500万円)に引き上げると発表し、9月21日午前0時以降の申請から適用を開始した。
この大幅な引き上げにより、米国内の企業が昨年並みの規模で外国人専門職を雇用するには、年間で約140億ドル(約2兆700億円)もの追加コストが発生すると英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は試算している。
商工会議所のニール・ブラッドリー副会長は声明で、「10万ドル(約1,500万円)の新手数料は、大企業だけでなく、特にスタートアップや中小企業にとってH-1B制度の利用を事実上不可能にする」と批判し、「このプログラムは、あらゆる規模の米企業が国内で事業を拡大するために必要な国際人材を確保できるよう設計されたものだ」と強調した。
そのうえで、「米商工会議所は米国への投資促進というトランプ政権の方向性を支持している」としながらも、「成長を支えるために必要なのは『労働者を減らすこと』ではなく、『より多くの労働力を確保すること』だ」と述べた。
ブラッドリー氏はまた、合法的な移民制度改革に向けて政権と協力する姿勢を示し、「熟練労働者のビザ手続きを合理化する常識的な改革が必要だ」と訴えた。
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