
米オレゴン州ポートランドで最近行われた移民・関税執行局(ICE)への抗議デモで、参加者たちがカエルの着ぐるみを着用、注目を集めた。
米紙『ワシントン・ポスト』は15日、この動きはYouTubeストリーマーのブルックス・ブラウン氏が、デモ中にカエルの着ぐるみを着た参加者がペッパースプレーを浴びる場面を目撃したことをきっかけに広がったと報じた。ブラウン氏がその後、他のデモ参加者にキャラクターの着ぐるみを提供したことで、活動が一層広がったという。
ブラウン氏は「バーニーやスポンジ・ボブのような平和的なキャラクターに暴力を振るう姿は、その暴力性をより鮮明に示す」と説明。キャラクターの着ぐるみには、単なるユーモアを超え、デモ参加者に過激な行動を控えさせる狙いもあるという。
パーソンズ美術大学で黒人視覚文化を教えるジョナサン・スクエア助教授は、「着ぐるみはパフォーマンスのような印象を与え、緊張を和らげる効果がある」と説明した。
専門家らは、今回のデモが、過去の米国の政治的抗議で衣装や象徴を用いてきた伝統とつながっているとみている。1960~70年代の学生運動や公民権運動では、参加者がスーツやドレスなどの端正な服装で平和と人間性を訴えた。
現代のデモでも、衣装やパフォーマンスを取り入れる動きは続いており、中絶権の制限に反対するデモでは、小説『侍女の物語』を連想させる赤い衣装が用いられることもあった。
ポートランドで始まったこの着ぐるみの使用は、ニューヨークやシカゴ、ロサンゼルスなど他都市にも広がっており、デモ参加者はカエルをはじめとするさまざまな動物キャラクターの着ぐるみを通じて、抗議のメッセージを視覚的に伝えている。
ブラウン氏は「着ぐるみは言語の壁を越えて即座にメッセージを伝えることができる。他の都市にも着ぐるみを送っている」と語った。
スクエア教授は「服装や着ぐるみは、視覚的に抗議する手段の一つであり、自分の体を使って価値観や抵抗の意図を表現する方法だ」と説明した。
コメント0