
欧州連合(EU)がロシアの戦争資金源である石油・ガス収入を制限するため、「シャドーフリート(shadow fleet)」への取り締まり拡大を進めていることが明らかになった。
19日(現地時間)、ロイター通信はEUの外交機関である「欧州対外行動局(EEAS)」の文書を引用し、ロシアの「シャドーフリート」取り締まりのため、EU諸国と船籍国が協力できる海上宣言への支持を促すよう加盟国に求めたと報じた。文書によれば、今回の宣言草案は「取り締まりのため、船籍国とEU間で事前承認された船上の立入検査(bilateral agreements)の可能性」を提案するとともに、虚偽の船籍登録が増加する問題への対処も必要とされているという。
EEASは、EU加盟国が「シャドーフリート」の取り締まりに向け、より強力な執行措置に徐々に前向きになっているとし、フランスのボラカイ、エストニアのキワラ、ドイツのEventin船舶への措置の事例を挙げた。EEASはロシアの原油取引に関わる「シャドーフリート」の規模を600~1,400隻に推定しており、すでに400隻以上の船舶と、その船団の運営を支援する機関を制裁対象に指定している。
EU外相らは20日に会合し、ロシアに対する制裁を含む新たな措置について協議する予定である。EUが19回目の対ロシア制裁パッケージを採択すれば、制裁対象の船舶は約560隻に増加し、ロシアの液化天然ガス(LNG)輸入禁止の施行日も2027年1月1日へと1年前倒しされる。EEASはまた、タンカーの給油サービスも制裁対象にする計画であると明らかにした。
一方、今回のEUの動きは、米国のドナルド・トランプ大統領がウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に対し、ロシア側の要求を受け入れるよう圧力をかけ、米国の追加支援の可能性を封じ込めた中で起きている。トランプ大統領は先週、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との電話会談後、ウクライナへのトマホーク・ミサイル支援は行えないと表明するとともに、ドンバス地域をロシアに譲渡するよう圧力をかけている。
フィナンシャル・タイムズ(FT)はこの日、関係者の発言を引用し、トランプ大統領が17日(現地時間)にゼレンスキー大統領とホワイトハウスで行った会談において、プーチン大統領の停戦条件を受け入れるよう促し、これに従わなければロシアがウクライナを破壊すると警告したと報じた。
ある関係者によれば、会談後のゼレンスキー大統領の反応は非常に否定的であったとされ、欧州の指導者たちは悲観的ながら現実的な観点から次の段階を計画中であると述べた。
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