イスラエル軍「自国兵2人の死亡に対する報復」
数十回の攻撃後、協定履行を再開
イスラエル、空爆再開前に米政府に通知

ドナルド・トランプ米大統領の仲介で成立したガザ地区の停戦が深刻な危機に直面している。
イスラエル軍は、ハマス(パレスチナ武装組織)による停戦協定違反を理由に空爆を一時的に再開し、少なくとも21人が死亡した。これにより人道支援物資の搬入も中断され、ハマスは「イスラエルが戦闘再開の口実を作っている」と強く反発している。
19日(現地時間)、ロイター通信やCNNなど主要メディアによると、イスラエル国防軍(IDF)は声明で「今朝、ハマスによる明白な停戦違反に対応し、ガザ南部のハマス関連拠点への攻撃を開始した」と発表した。イスラエル軍は、今回の空爆が「ハマスの戦闘員が対戦車ミサイルを発射し、自国兵2人が死亡したことへの報復」だとし「ハマスの司令官、武装組織、トンネル、武器庫などを標的に攻撃した」と説明した。
トランプ大統領による「ガザ和平構想」の第1段階が発効した今月10日以降、イスラエル側で死者が出たのは初めとされる。米政治メディア「アクシオス」によれば、イスラエル軍は今回の空爆を開始する前に米政府へ事前に通報していたという。米国務省は前日、ハマスがガザ住民を標的とした攻撃を計画しているとの「信頼できる情報」があるとして、実行すれば対応すると警告していた。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相はカッツ国防相ら高官と協議し「ガザ地区のテロ拠点に対し強力に対応せよ」と指示したという。カッツ国防相も「ハマスが停戦を破れば、そのたびに代償を払うことになる。イスラエル軍の対応は一層強まる」と強調した。さらに、停戦合意に基づき撤退した地点「イエローライン(第1段階の撤収線)」を明確に標示し「この線を越えるあらゆる行為は攻撃と見なす」と警告した。

イスラエル軍はガザ内のハマス拠点に対して数十回の攻撃を行った後、同日夜に「停戦協定の履行を再開する」と発表した。IDFは声明で「協定を維持し、いかなる違反にも断固対応する」と強調した。
イスラエルの安全保障関係者はロイター通信に「一時中断されたガザへの救援物資の搬入は20日から再開される予定だ」と述べた。
ロイター通信は「イスラエル軍の一時的な空爆再開で、イスラエル兵2人を含む少なくとも26人が死亡した」と報じ、AFP通信も「ガザ民防当局の発表によると少なくとも45人が死亡した」と伝えた。ガザの民防当局報道官マフムード・バサル氏はAFP通信に「イスラエル軍の連続空爆で女性や子どもを含む少なくとも45人が死亡した」と述べ、ハンユニス近郊の難民キャンプではドローン攻撃により女性1人と子ども2人が死亡したと明らかにした。カタールの衛星局アルジャジーラは、ガザ内の医療関係者の話として「死者51人、負傷者150人」と報じている。

ハマスはイスラエルの「協定違反」主張を全面的に否定し「停戦破りの責任転嫁だ」と非難した。ハマス政治局のイザット・アル・リシュク氏は声明で「イスラエルは自らの攻撃を正当化するために虚偽の口実を作っている」と反発した。ハマス武装組織アル・カッサム旅団も「我々はガザ全域での停戦を含め、合意内容を完全に履行している」とし「ラファ地区での衝突については把握していない」と主張した。
イスラエルとハマスは、トランプ大統領の仲介で、イスラエル人質の解放や遺体の引き渡し、パレスチナ人囚人の釈放などを柱とする停戦第1段階に合意したが、死亡したイスラエル人質の遺体引き渡しをめぐって対立が続いている。イスラエルは「ハマスが意図的に遅らせている」と主張し、ハマス側は「イスラエル軍の攻撃で被害が拡大し、収容作業が遅れている」と反論している。
関係筋によると、米国のスティーブ・ウィトコフ中東特使とジャレッド・クシュナー氏(トランプ大統領の義理の息子)が、ガザ停戦問題の解決のため20日にイスラエルを訪問する予定だという。
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