高市総裁、首相選出ほぼ確実に——「連立の救援投手」となった日本維新の会
両党、首相指名選挙前日の20日に合意書へ署名
維新、議員定数削減など政治改革の実現を狙う
閣僚は出さず「閣外協力」で参加の見通し
連立政権、より保守色が強まる可能性
高市総裁、靖国神社の秋季例大祭では参拝見送り

連立勢力の離脱により政権基盤が揺らいでいる与党・自民党は、高市早苗総裁のもと、第2野党・日本維新の会を「救援投手」として迎え入れ、21日の首相指名が事実上、確実となった。
読売新聞によると、両党は首相指名選挙の前日である20日に連立政権合意書へ署名する予定だという。
議院内閣制を採用しているため、首相指名選挙で国会議員の過半数の票を得る必要がある。現在、少数与党となっている自民党は衆議院で議長分を含め197票を確保している。ここに維新の会の35議席を加えると計232議席となり、過半数(233議席)まであと1議席に迫る。
自民党は衆院で3議席を持つ右派系の参政党などにも協力を要請しており、初回投票で過半数を確保し、決選投票が行われない可能性もある。首相選では過半数を得られなかった場合、上位2名による決選投票が実施される。
維新の会は、公明党の離脱によって過半数を失った自民党の「キャスティングボート」を握り、政治改革の実現を狙っているとみられる。実際、維新は自民党との連立協議で、議員定数の削減や企業・団体献金の全面廃止など、踏み込んだ政治改革案を掲げた。また、大阪府を第2の首都にあたる「副首都」として指定することを求めており、高市総裁もこれに前向きな姿勢を示している。
維新の会の吉村洋文共同代表は18日のテレビ番組で「痛みを伴う本当の改革を断行する」と述べ、「議員定数の削減もできないようでは、その船に乗るつもりはない」と強調した。
維新の会は国内の政界では珍しい大阪発の地方政党である。2010年代初頭、大阪市長だった橋下徹氏が、東京中心の政治に対抗する形で「大阪から日本を変える」というスローガンを掲げて設立した。強硬な保守色を持ち、橋下氏は代表当時「慰安婦は必要だった」と発言するなど、たびたび物議を醸していた。
そのため、自民党と維新の会が次期連立政権を構成すれば、政府の保守色は一層強まる可能性が高い。
ただし、維新の会は閣僚を出さず、「閣外協力」の形で連立に参加する見通しだ。日本経済新聞は「入閣によって未熟さが露呈すれば、かえって支持率が下がるとの判断が働いた」と分析している。政策面での連携により、共同政権としてのリスクを避けつつ、全国政治の舞台で影響力を拡大しようとする戦略とみられる。
一方、これまで靖国神社を定期的に参拝してきた高市総裁は、外交的な反発を考慮し、17〜19日の秋季例大祭期間中の参拝を見送ったと共同通信が伝えている。
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