トランプ大統領、「政府内の反対勢力」摘発に着手――機関を総動員し全方位で対応
フォックス「政府権力の乱用を正す」/ロイター「39人が参加、報復論争が拡大」

ドナルド・トランプ米大統領が再度政権を掌握した後、政府機関の「政治的武器化」を正すため、ホワイトハウスをはじめ情報・司法機関を総動員した超広範囲の協議体を稼働させている。
米メディアによると、この協議体「政府機関武器化対応共同調整グループ(IWWG: Interagency Weaponisation Working Group)」が設立され、前政権による政府機関の乱用実態を調査することになった。
ロイター通信によると、このグループには連邦機関の現職・元職員少なくとも39人が参加しており、事実上「ディープステート」を標的とした組織であるという。
設立を指揮したのはタルシー・ギャバード国家情報長官で、同氏は国家情報局だけでなく司法省、連邦捜査局(FBI)、中央情報局(CIA)、国防省など主要機関から人員を集めてIWWGを立ち上げた。
ギャバード長官は「米国民はトランプ大統領を通じて政府機関の武器化を止め、憲法に基づく正義を回復することを選択した」と述べ、各機関が情報を共有・調整・実行するための機構を設置したと説明した。また「真の責任追及こそ持続的な変化の第一歩であり、問題は監視ではなく権力の乱用にある」と強調した。
また、パム・ボンディ司法長官は別のインタビューで、「バイデン政権下の司法省はトランプ大統領とその支持者を標的にし、中絶反対デモや保護者をテロリスト扱いした」と指摘し、「トランプ政権は政府機関の武器化を終わらせ、『一つの正義体系』を復元するために日々協力している」と語った。
カッシ・パテルFBI長官も「バイデン政権は法執行機関を政治的武器に転用した。トランプ大統領の指導のもと、われわれはその根を断つ」と述べている。
一方、ロイター通信の調査ではIWWGの内部文書約20件を精査した結果、ホワイトハウス、CIA、司法省、国内歳入庁(IRS)など9機関から少なくとも39人が協議体名簿に含まれており、その目標は「ディープステート」を標的とすることにあったという。議論の対象には、ジェームズ・コーミー前FBI長官、アンソニー・ファウチ国立アレルギー・感染症研究所所長、ハンター・バイデン氏らが挙げられている。
国家情報局の報道官は「特定の個人を報復対象にしたことは一切ない。われわれは過去の政府機関が違法に権力を乱用したかどうかを調査しているだけだ」と反論している。
また、ロイター通信は国家情報局が非分類通信網および機密ネットワーク(SIPRNET・JWICSなど)を用いて「ディープステート関連データ」の検索を試みたと報じたが、同局は「そのような方式ではシステムは動作しない」と否定している。
米議会はこの動きを注視しており、最近可決された国防権限法案に「IWWGの人員構成、予算、セキュリティ承認手続きを議会に報告する」条項を盛り込んでいる。
トランプ大統領は就任初日、各省に対し「過去政権が政府機関を武器化した行為の調査と是正」を行政命令で指示し、その後も「政府権力が国民に振るわれる時代は終わった」と宣言した。
これに対して野党や一部の元高官は「これは政府権力を利用した政治的報復だ」と反発し、政治的緊張が高まっている。専門家は「トランプ政権は『脱政治化』を名目に政府機構の人事と情報体制を再編しており、今回の動きは米行政権力の中立性を問う試金石になる」と分析している。
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