トランプ大統領が金正恩委員長に強い関心を示すのは「北朝鮮の不動産開発」が理由
元米国務省高官が証言

ドナルド・トランプ米大統領の政権は、政権移行期から北朝鮮の金正恩国務委員長との接触を試みていたが、北朝鮮側は消極的な反応を示していたことが分かった。元米国務省の高官が明らかにしたもので、トランプ大統領が台湾政策を転換する可能性についても言及した。この元高官は「5月にピート・ヘグセス国防長官が対中強硬演説を行った直後、ホワイトハウスが懸念を示し、対中強硬派の発言がほとんど聞かれなくなった」と述べた。
ホワイトハウスや国務省でアジア外交を担当した複数の元高官は、トランプ大統領のアジア歴訪を前に、20日(現地時間)午前、ワシントンで米主要メディアおよび日本、韓国、インドなどアジア諸国の記者団を対象にブリーフィングを行い、このように説明した。
出席した元国務省高官は「当時はあまり注目されなかったが、トランプ陣営は政権移行期から金正恩委員長と接触しようと驚くほど多くの努力を重ねていた」と述べ、「トランプ大統領周辺では『金正恩委員長に手紙をどう届けるか』、『国連経由が適切か』といった議論が続いていた」と明かした。
そのうえで、「しかし金正恩委員長はトランプ大統領の接近に対して消極的で冷淡な姿勢を見せた。北朝鮮は『我々を核保有国として認めるなら話すことは多いが、そうでなければ関心はない』と伝えてきた。非常に計算された対応だ」と述べた。
トランプ大統領が北朝鮮問題に強い関心を寄せる理由について、この高官は「トランプ大統領は『不動産開発型の北朝鮮再建』構想に執着している」と分析した。さらに「政権を離れていた4年間も、断続的に北朝鮮との接触を試みることに相当な時間を費やしていた」と語った。
一方、中国がハンファ・オーシャンの米国子会社5社を制裁対象とした件について、ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)出身の元高官は「中国が『反外国制裁法』を実際に武器化した初の事例だ」と指摘し、「米国のルールに従う外国企業も今後制裁対象になり得るという警告的な動きだ」と述べた。その上で「中国は言葉では緩和を示すかもしれないが、実際には一切譲歩しない。今回の制裁も撤回しないだろう」と予測した。
台湾政策について、出席者の多くはトランプ政権が方向転換する可能性が高いとの見方を示した。元国務省高官は「単なる政策調整ではなく、北京の立場に歩み寄る形になる可能性があり、これは台湾だけでなく日本、韓国、欧州、オーストラリアにも大きな影響を与える」と述べた。
NSC出身の別の元高官も「トランプ大統領が1期目に習近平国家主席との会談で『私は台湾問題に関心がない』、『平和的統一を協議しても構わない』と語ったという話がある」と明かした。さらに「トランプ陣営が『台湾独立を支持しない』から『台湾独立に反対する』へと文言を変える程度のことは大きな違いではないと考える可能性がある。それが現実になれば、中国は即座に『米国は台湾を見放した』と宣伝し、台湾の国内政治に深刻な波紋を広げるだろう」と警鐘を鳴らした。
実際、トランプ大統領はこの日、ホワイトハウスでアンソニー・アルバニージー豪首相と会談後、中国の台湾侵攻の可能性について問われ、「中国はそんなことを望んでいない」と述べた。
対中政策をめぐっては、「財務省が中心となる極めて異例の体制だ」との分析も出ている。元国務省高官は「米中関係の歴史上、ホワイトハウスではなく財務省が対中関係を主導するのは初めてだ」と指摘した。
「過去にも財務省が一部の役割を果たしたことはあったが、今回は全面的に主導している」としたうえで、「中国問題を実際に扱っているのはトランプ大統領、スコット・ベッセント財務長官、駐中国大使の3人に限られる。トランプ政権1期の時と異なり、高官レベルの中国専門家はほとんど残っておらず、NSCは事実上対中政策から外されている」と述べた。
また、同高官は「ヘグセス国防長官が5月のシャングリラ会議で、米中関係への懸念を誇張した調子で語った際、ホワイトハウスはその演説に懸念を示した」と明かした。「それ以降、ヘグセス長官は中国問題にほとんど言及していない。かつての対中強硬派も、公の場では声を潜めている」と話した。
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