トランプ氏、ゼレンスキー氏に「ロシアの要求受け入れ」を迫る
激しい応酬の末「現在の位置で殺戮を停止すべき」と主張

欧州連合(EU)は、ウクライナ東部ドンバス地方(ドネツィク州、ルハーンシク州)の未占領地域をロシアに引き渡すべきではないとし、領土の割譲を迫ったドナルド・トランプ米大統領を批判した。
『ポリティコ』などによると、EUのカヤ・カッラス外交・安全保障上級代表は20日(現地時間)、ルクセンブルクで開かれたEU外相理事会後の記者会見で、「もし領土をただ明け渡すのであれば、それは隣国に武力を行使すれば望むものを手に入れられるという誤ったシグナルを、すべての人々に与えることになる」と警告した。
さらに、「それが非常に危険であるため、我々は国際法を整備し、誰もそのような行為ができないようにしている」と強調した。
カッラス上級代表は、「(奪われた領土を)武力で取り戻せるかどうかという問題もあるが、一方で、それを他国の領土として認めるか否かという問題もある」と述べ、エストニアの事例に言及した。カッラス氏はエストニアの元首相でもある。
「私は50年間(ソ連に)占領されていた国の出身だが、世界の大多数の国々はその土地(エストニア)をロシアの領土として認めなかった。それは非常に大きな意味を持っていた」と語った。
この発言は、仮にロシアが未占領地を含むウクライナ東部を掌握したまま戦争が終結したとしても、EUはロシアの領土拡張を認めず、ウクライナによる奪還を引き続き支援する方針を示したものと受け止められる。
これに先立ち、英『フィナンシャル・タイムズ(FT)』は、トランプ大統領が17日にホワイトハウスでウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談し、ロシアが求めるドンバス地域の放棄要求を受け入れるよう圧力をかけたと報じた。
報道によれば、トランプ氏はゼレンスキー氏に対し罵声を浴びせ、プーチン大統領の主張をそのまま伝えるとともに、戦況が記されたウクライナの地図を「うんざりだ」と言い放って投げ捨てたという。
ただし、『ポリティコ』によると、トランプ氏は会談の終盤で現状の前線維持を受け入れる姿勢を示したという。匿名の消息筋は「トランプ氏はゼレンスキー氏に『分かった。今の前線で努力してみよう』と述べて会談を締めくくった」と明かした。
トランプ氏は会談後、「ウクライナとロシアは今の位置で立ち止まり、殺戮をやめて交渉を始める時が来た」と述べ、現行の前線を固定したまま領土線の画定交渉を開始すべきだとの考えを示した。
報道によれば、ロシアは現在、ウクライナ領土の約19%にあたる約11万5,512平方キロメートルを占領している。東部ドンバス地域では約88%を掌握しており、ルハーンシク州はほぼ全域、ドネツィク州も約70〜75%を支配下に置いているとされる。
プーチン氏は、ウクライナがドンバス全域を譲渡すれば、南部ザポリージャ州とヘルソン州の占領地の一部を返還するとの提案をトランプ氏に伝えたという。
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