大豆は「反米」、原油は「親ロシア」――米国の「痛点」だけを突く中国
中国の原油輸入の17.5%がロシア産
「トランプ大統領とのAPEC会談を前にした『対抗姿勢』」

大豆は徹底して反米路線を貫き、原油は親ロシアの姿勢を強める。これが今年に入り、中国が貿易で示している基本的な方向性だ。米中貿易戦争のさなか、米国の「痛点」を狙い撃つ戦略ともいえる。
香港メディアの「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」は20日(現地時間)、米国が主要経済国に対しロシア産エネルギーへの依存度を下げるよう圧力をかけるなかでも、中国のロシア産原油輸入がむしろ増加していると報じた。
20日に公表された税関の詳細データによると、中国は先月、ロシアから829万トンの原油を輸入した。前月比4.3%増で、中国の原油輸入全体の17.5%を占める。
欧州などがロシア離れを進める中でも、ロシアは中国最大の原油供給国としての地位を一層固めた。また、液化天然ガス(LNG)の輸入も増え、前年同期比で1.9%の小幅増を記録している。
この動きについては、中国が米国に対し「圧力には屈しない」との政治的メッセージを送っているとの見方もある。エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)のシュー・ティエンチェン上級エコノミストは「ロシア産原油の購入拡大は、米中会談を前にした中国の『対抗姿勢』とみることができる」と分析した。「トランプ大統領が中国への関税をすべて撤廃し、中国企業への制裁を解除しない限り、中国がロシア産原油を手放す理由はないだろう」と述べた。
米国はロシア・ウクライナ戦争の終結に向け、主要経済国に対しロシア産エネルギーの輸入停止を求めている。
トランプ大統領は先月、ニューヨークでの国連総会で「ロシアが戦争資金を得ているのは、欧州がガスを買い続けているからだ」と批判した。主要なロシア原油輸入国であるインドには「関税爆弾」ともいえる事実上の制裁を科し、協議に乗り出した。トランプ大統領は15日(現地時間)、ナレンドラ・モディ首相がロシア産石油の購入を中止することで合意したと明らかにし、「次は中国にも同じ決断を迫る」と述べた。
しかし中国は意に介していない様子だ。中国当局はロシアとのエネルギー協力を繰り返し正当化しており、林剣(リン・ジェン)外交部報道官は16日(現地時間)、「中国はロシアおよび他国と正常かつ合法的な貿易・エネルギー協力を行っている」と主張し、米国の発言について「典型的な一方的ないじめであり、経済的強圧だ」と批判した。
中国はまた、ロシア産原油だけでなく、大豆輸入でも米国の「痛点」を突いている。先月、中国は1,280万トンの大豆を輸入し、9月として過去最大を記録したが、米国産大豆はほとんど輸入しなかった。かつて米国は中国最大の大豆供給国だったが、貿易戦争以降、中国は南米産への切り替えを進めている。ブラジル産大豆は前年同期比30%増で、中国輸入量の85.5%を占めた。さらに、米国から400億ドル規模の通貨支援を受けたアルゼンチンは輸出税を一時停止し、中国向け輸出を91.5%増やした。
米中の貿易協議が長引けば、中国からの注文を逃した米国農家は収穫期に甚大な損失を被ることになる。SCMPは「中国は輸入大豆への依存度の高さを食料安全保障上の弱点と見なしていたが、現在は貿易戦争の交渉カードとして利用している」と分析している。
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