
フィリピンと米国・日本など7か国が先週、南シナ海一帯で合同軍事演習を実施したのに対し、中国は領有権紛争海域のスカボロー礁(中国名:黄岩島)付近にブイなどの構造物を設置し、独自の訓練を行った。中国海軍艦艇が海警に補給する様子も確認された。
20日、香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)や中央通訊社(CNA)などによると、フィリピン沿岸警備隊は先週、中国がスカボロー礁付近にブイ2個と未確認の構造物2個を設置したのを発見したという。
フィリピン当局は、スカボロー礁の北西側海域で中国が設置した黄色のブイ1個を発見し、同日、南東側の礁で用途不明の構造物2個も発見したと説明した。さらに15日には、スカボロー礁内のラグーンで別の黄色のブイが発見された。
フィリピン沿岸警備隊はブイや構造物に関する声明を発表し、「(中国の)こうした侵略行為に対抗し、国際法と西フィリピン海(南シナ海)の海洋管轄権を守る」と述べた。フィリピン国防省と外務省もそれぞれ声明を出し、スカボロー礁付近の海域に対する自国の主権を強調した。
これらのブイと構造物は、フィリピン、米国、日本、英国、オーストラリア、フランス、カナダなど7か国が南シナ海一帯で合同軍事演習を実施した期間中に設置されたとみられる。「SAMASAMA 2025」と呼ばれる今回の演習は6日に始まり17日まで続き、軍艦・航空機の実弾射撃訓練や対潜水艦・対空訓練など多様なプログラムが実施された。
主要な大規模演習は13~17日に行われたが、中国はこの時期に合わせてスカボロー礁付近に人員と戦闘機を派遣し、ブイを設置したとみられる。中国はこの期間中、101型・301型などの大型海警船2隻もスカボロー礁付近の海域に派遣したとフィリピンのメディアは伝えた。
中国軍は、フィリピンと米国などの合同演習最終日の17日には、スカボロー礁南西側の海岸で独自の軍事訓練も実施した。スカボロー礁付近で中国海軍の補給艦が海警艦艇に補給作戦を行う様子も確認された。
SCMPは、フィリピンのABS-CBNの報道を引用し、フィリピン沿岸警備隊が17日にスカボロー礁付近で中国海軍の軍艦2隻と海警艦艇4隻、海上民兵の船舶数隻を監視したと伝えた。このうち、「885」という艦番号が付いた中国海軍の補給艦「青海湖」は、海警艦艇に再補給する様子が目撃された。
青海湖は満載排水量3万7,000トンの908型補給艦で、1996年に就役した。青海湖が海警艦艇に補給作戦を行ったことは、南シナ海で中国とフィリピン間の緊張が高まる中、中国海軍と海警の連携が強化されていることを示していると、SCMPは伝えた。
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