ドローン・ミサイル100機以上で一晩中攻撃
エネルギー施設を集中攻撃…北部チェルニーヒウ全域で停電、4人死亡・10人負傷
ドナルド・トランプ米大統領とウラジーミル・プーチン露大統領によるハンガリーでの首脳会談が延期となる中、ロシアがウクライナの主要インフラ施設を標的に再び大規模な空爆を行った。ウクライナ北部の都市チェルニーヒウは全域が停電に見舞われ、厳しい冬を前にエネルギー危機の深刻化が懸念されている。

21日(現地時間)、BBCなどによると、ウクライナ当局はロシア軍による夜通しの攻撃で、チェルニーヒウで約40万人が停電の被害を受けたと明らかにした。近郊のノヴホロド・シヴェルシクィイ地域の住宅地にミサイルが着弾し、4人が死亡、10歳の子どもを含む10人が負傷したという。
今回の攻撃はイラン製のドローン「シャヘド」約100機と弾道ミサイル6発が投入された大規模作戦で、発電所など主要な電力施設が集中して狙われた。ロシアは毎年冬の到来前に、エネルギー供給施設や鉄道網、住宅、企業などの民間インフラを継続的に攻撃しており、その傾向は今年さらに強まっている。
チェルニーヒウ州はロシアおよびベラルーシ国境に接しており、防空システムが反応できる時間が極めて短い地域だ。現地住民のオレクサンドル・バビッチさん(55)は「一晩中ドローンの音が聞こえた」と話し、「今ではこの唸り音が前線から遠く離れた地域でも日常のようになってしまった」と語った。
チェルニーヒウ州軍のアンドリー・ポドルバン副責任者はBBCに対し「過去6カ月間、ロシア軍はエネルギー関連施設を集中的に攻撃しており、特にここ2カ月でその頻度が急増している」と説明した。また「石油精製所まで標的にしていることからも、ロシアが主張する軍事的目的には全く説得力がない」と非難した。
停電は上水道ポンプ場の稼働にも影響を及ぼし、住民は飲料水を備蓄するか、緊急給水車に頼る状況が続いている。爆撃が断続的に続いているため、電力復旧作業も遅れているという。
これまでに推定されるエネルギー分野の被害額は160億ドル(約2兆4,259億9,010万円)を超えている。ポドルバン副責任者は「ロシアは前線で成果を上げられず、民間人を標的にしている」としながらも、「こうした攻撃はむしろウクライナ国民の結束を強めている」と強調した。
専門家は、ロシアのインフラ攻撃がウクライナの電力網復旧と経済再建を同時に阻む恐れがあると指摘する。通常、交換用変圧器の製造から運搬、設置までには1年以上を要し、部品の不足も深刻化しているという。
一方、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は最近、トランプ大統領とホワイトハウスで会談したものの、期待していた長距離巡航ミサイル「トマホーク」の供与は得られなかった。代わり、米国の主要エネルギー企業の経営者らと面会し、インフラ復旧支援について協議したとされる。BBCは「この会談は一定の実質的成果を挙げた」と伝えている。
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