「オマハの賢人」ウォーレン・バフェット氏が3年ぶりの最大規模の買収を実行した。バフェット氏が率いる「バークシャー・ハサウェイ」は、米国のエネルギー企業「オキシデンタル・ペトロリアム」から石油化学子会社「オキシケム」を97億ドル(約1兆4,779億円)で買収することで合意した。
この取引は2022年の保険会社「アレゲニー」買収以来、バークシャー・ハサウェイにおける最大の投資となり、バフェット氏特有の「景気の底値買い」戦略が再び発揮されたと評価されている。

21日(現地時間)、米国の投資専門メディアである「モトリーフール」など海外メディアによると、オキシケムは苛性ソーダ、塩素アルカリ、PVCなどの基礎化学素材を生産する世界有数の石油化学企業であるという。
しかし、世界的な景気減速と原材料価格の下落の影響で業績は低迷しており、今年第2四半期の税引前利益は2億1,300万ドル(約324億5,158万円)と、前年比で大幅に減少している。こうした状況下で、バークシャー・ハサウェイは「景気循環の底で優良資産を低価格で取得する機会」と判断し、買収を決定した。取引価格は、オキシケムの来年予想キャッシュフローの約8倍の水準で、業界平均とほぼ同等ながら、今後の業況回復時には高収益が見込まれるとの分析がある。
今回の買収は、バフェット氏の後継者とされるバークシャー・ハサウェイのグレッグ・アベル副会長が主導した。彼はオキシケムを「堅実な事業資産と熟練した人材を有する企業」と位置づけ、その長期成長の可能性を強調した。
バークシャー・ハサウェイは約3,400億ドル(約51兆8,006億円)に上る現金性資産の一部のみを用いて今回の取引を実現した。これにより、大規模な現金保有に伴う負担を軽減しつつ、安定したキャッシュフローを確保することが可能になった。
オキシデンタルにとっても、今回の売却は「現金確保」が主な目的である。同社は昨年、シェール企業「CrownRock」の買収のために巨額の負債を抱えた。現在、総負債は240億ドル(約3兆6,565億円)に達しており、売却代金のうち65億ドル(約9,903億509万円)は負債返済に、残りは運転資金として活用される予定である。
バークシャー・ハサウェイは今回の取引により、直接的な利益のみならず間接的な利益も得る。オキシデンタルの28%の株式を保有しているため、親会社の財務体質改善はバークシャーの投資価値向上につながる。また、同社は依然としてオキシデンタルの85億ドル(約1兆2,949億円)規模の優先株を保有しており、年8%の固定配当を受け続ける。これは米国の短期国債利回りを大幅に上回る水準である。
市場では、今回の買収を「バフェット氏らしい一手」と評価している。景気後退への懸念から市場が沈静化する中、バークシャー・ハサウェイは巨額の現金を背景に過小評価された資産を買い、今後の景気回復局面で利益を最大化する足掛かりを築いたとの見解だ。実際にオキシケムの業績が2026年から反転する場合、今回の投資は長期的に高収益をもたらす可能性が高い。
バフェット氏は今年末にバークシャー・ハサウェイのCEO職を退く予定であるが、最後まで価値重視の投資哲学を実践している。エネルギー、製造、インフラなど実体経済を支える資産に対する彼の確固たる信念は変わらない。あるアナリストは「バフェット氏は危機の際に行動し、他の人々が恐れるときにチャンスを掴む」と述べ、「今回の買収はその哲学の完璧な例だ」と評価した。
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