中国は米国とオーストラリアの「レアアース同盟」に注目している。中国側が9日に発表したレアアース輸出規制の措置は、半導体やAI、防衛産業など、事実上米国の核心事業すべてを狙った戦略であるためだ。
中国メディアは今回の同盟が、中国に対する米国のレアアース依存度を低減できるかどうかについて分析記事を掲載しており、短期間で自立することは不可能で、8年以上かかる可能性が高いとの見方が大半を占めると伝えている。

中国経済メディア「財新」は23日、米国のドナルド・トランプ大統領が20日(現地時間)、ホワイトハウスでオーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相と首脳会談を行い、「重要鉱物およびレアアースの安定的な供給網確保のための米豪枠組み」に署名したことに関して、米国が中国からのレアアース供給依存度を低減しようとする意図を示したと評価した。
財新は特に「約1年後、我々は多くの核心鉱物とレアアースを保有することになるだろう」というトランプ大統領の発言に注目している。もし彼の言及通りになれば、レアアース規制を用いて交渉力を最大化しようと試みた中国の計画が、逆に米国のレアアース自立を促進することになりかねない。
専門家の間では、以前から「米国とオーストラリアがレアアース分野で協力体制を築くのではないか」という見方が広がっていた。オーストラリアは豊富なレアアース資源を持つ代表的な国の一つであり、米国地質調査所(USGS)の2024年時点のデータによると、同国のレアアース埋蔵量は約5,700万トンに達するという。これは中国、ミャンマー、インドに次いで世界第4位にあたる。また、年間のレアアース生産量は約1万3,000トンで、中国、米国、カナダに続く規模となっている。
さらにオーストラリアはレアアース開発能力も備えている。オーストラリアの鉱業会社「ライナス・レア・アース(Lynas Rare Earths Limited)」のレアアース分離・精錬技術は欧米企業よりも優れていると評価される。
ライナスは西オーストラリア州の鉱山でレアアース原鉱を採掘し、マレーシアの工場で精錬している。同工場は5月にジスプロシウムと酸化テルビウムの生産に成功し、中国以外の地域で重レアアースを分離した初の企業になった。米国のシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)が最近、「オーストラリアは中国のレアアース支配に対抗するための米国の最も重要な協力パートナーである」と分析した理由でもある。

しかし、財新は、米国がオーストラリアとの協力で1年以内にレアアース自立を実現するのは現実的でないと指摘している。その根拠として、20日にゴールドマン・サックスが発表した報告書を挙げている。報告書は、単なる大規模な採掘拡大では短期間に対中輸入依存度を低減するのは難しいと分析している。
ゴールドマン・サックスは、中国が輸出規制に乗り出した重レアアースの埋蔵量は、軽レアアースに比べてはるかに希少であり、重レアアースの大部分が中国南部とミャンマー北部に埋蔵されている点を強調した。財新は、業界の推定を引用し、重レアアース採掘の約80%がミャンマーのイオン吸着鉱から、残りの約20%が中国のレアアース集団から産出されていると伝えている。
中国が4月と10月の2回にわたって輸出規制に乗り出したレアアースはすべて重レアアースである。光学ガラスやバッテリー合金などに使用される軽レアアースとは異なり、重レアアースは軍需、航空宇宙、高性能電子関連素材に使用されるため、その規制は大きな打撃になる。
また、財新はゴールドマン・サックスがレアアース鉱山の実際の稼働には一般的に8~10年を要すると分析している。重レアアースの精錬と分離技術は、長年にわたり蓄積されたノウハウが必要とされ、精錬過程で放射性廃棄物が発生するため、環境許可の問題や政治的な反対意見を乗り越えなければならない。
そのため、トランプ大統領が公言したように、1年以内に自前の供給網を整えるのは容易ではないと、財新は分析している。さらに、財新は、中国はレアアースのバリューチェーンにおいて、採掘段階よりも製造段階での独占度が高く、分離、精錬、磁石製造の分野で世界生産能力の90%を占め、採掘段階では約58%に留まっていると付け加えている。














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