
欧州連合(EU)がベルギーの反対により、欧州内のロシア凍結資産最大1,400億ユーロ(約24兆8,572億円)をウクライナに貸し出す案で合意できなかった。
ポリティコやユーロニュースなどによれば、ハンガリーを除くEU26か国の首脳が、23日(現地時間)にベルギー・ブリュッセルで開催された首脳会議後に発表した声明を通じ、ウクライナの財政需要評価に基づく支援案の策定を欧州委員会に要請したことが明らかになったという。
この声明はやや原則的な表現になっており、EUが事前に用意していた草案には「ロシア資産貸出に関する具体的な代案提示」という直接的な文言が含まれていたとされるが、最終声明では削除された。
欧州理事会のアントニオ・コスタ議長は、12月に開催される次回の首脳会議で(ロシア資産貸出に関する)最終決定が下されることを期待すると述べた。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長によれば、ほぼ全加盟国がロシア資産の貸出構想に同意したものの、事実上の決定権を有するベルギーが反対を貫いたという。
EU内のロシア資産の86%にあたる1,830億ユーロ(約32兆4,881億円)が、ブリュッセルに本社を置く「ユーロクリア」に保管されているため、ベルギーは有事の際に自国がロシアの報復を被る可能性を懸念してきた。ユーロニュースは、一日中続いた激しい議論にもかかわらず、各国首脳がベルギー首相の懸念を解消できなかったと伝えている。
ベルギーのバルト・デウェーフェル首相は、首脳会議開始前に記者会見で、ロシアが資金返還を要求する場合、EUの残りの加盟国が費用を分担する保証がなければ計画に同意できないとし、その影響がベルギーに限定されるものではないと強調した。さらに、EUがこれを単独で実施するのは好ましくないとして、主要7か国(G7)の参加も要求した。
これに対し、各国は有事の際の分担および調整への関与を約束し、合意を試みたが、ベルギーの懸念を解消することはできなかったとガーディアンは報じた。また、G7の中で英国とカナダは参加の意思を示した一方、米国はロシア資産の貸出に参加しない意向を欧州に伝えたとされ、日本は特別な立場を示していない。
各国は12月19日に開催される次回の首脳会議までの2か月間、ベルギーの説得に全力を尽くす見込みである。海外メディアを総合すると、EUは12月の合意に無理がないとみている。コスタ議長は、ベルギーを含むいかなる加盟国も「拒否権」を行使しなかったとし、欧州のウクライナ支援に関する技術的および法的側面の改善に努めると述べた。
ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、もしロシアの資産がドイツにあったなら、同様の主張をしていただろうとしてベルギーをなだめ、さらに責任に関する議論を深める必要性を示した。フランスのエマニュエル・マクロン大統領も、ロシア資産の貸出が保留されたわけではなく、技術的な詳細について協議することを付け加えた。
一方、キーウ・インディペンデントによれば、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が財政の逼迫状況を訴え、早急な資金支援を求めたという。ロシア資産の貸出が実現した場合、その資金は相当額が欧州製武器の購入に充てられるとされる一方、米国がペトリオット・ミサイルを保有しているという事実も認識すべきだと述べ、米国製武器の自主購入方針を示唆した。
欧州各国は、ウクライナがEU貸出額を自由に使用できるようにするか、あるいは欧州製武器を優先的に購入する条件付き貸出にするかについて意見を異にしている。フランス、ドイツ、イタリアなど防衛産業の育成に乗り出した西欧諸国は欧州製武器の優先購入を主張する一方、フィンランド、オランダ、バルト三国などロシアに比較的近い国々は、ウクライナが使用先を自由に決定すべきだと考えている。














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