ニミッツ空母で30分間隔の連続事故…米中、貿易緩和合意目前に緊張高まる

アメリカ海軍航空母艦USS ニミッツから発進したヘリコプターと戦闘機が、南シナ海上空で約30分の間隔をあけて相次いで墜落した。尚、搭乗していた全員は救助された。
CNNは26日(現地時間)「米太平洋艦隊によると、MH60RシーホークヘリコプターとF/A18Fスーパーホーネット戦闘機が、それぞれ任務中に海上へ落ち、搭乗者5名が無事救助された」と報じた。
30分間隔で墜落

最初の事故は午後2時45分頃、海上攻撃ヘリコプター第73飛行隊「バトルキャッツ」所属のMH60Rがニミッツを出撃し、南シナ海上で海洋へ墜落した。救難部隊が直ちに出動し、搭乗者3名を全員救出した。
続いて30分後、第22戦闘攻撃飛行隊「ファイティング・レッドコックス」所属のF/A18Fが同海域で墜落した。2名の操縦士は緊急脱出に成功し、救難チームが迅速に救助した。米海軍は両事故の原因を調査中で、「搭乗者は全員安全に戻り、状態も安定している」と発表した。
アジア訪問中のトランプ大統領と米中会談前夜

この事故は、ドナルド・トランプ米大統領がアジア訪問中に発生した。トランプ大統領はマレーシアでの訪問を終えた後、日本を経て韓国へ渡る予定で、10月30日に韓国・釜山(プサン)で 習近平中国国家主席と二国間会談を行う予定である。
CNNは、「米中双方が相互報復的な貿易措置を繰り返してきたが、会談を前に両国は貿易協議の枠組みで合意に達した」と報じた。スコット・ベッセント米財務長官も「両国は新たな貿易協議の枠組みに合意し、市場の不確実性が軽減される」と述べている。
米中両国は25日から26日にマレーシア・クアラルンプールで行われた高官会議では、中国のレアアース輸出規制と米国の対中追加関税100%適用の先送りが原則合意されたと報じられている。ベッセント長官は「中国のレアアース輸出規制が1年間猶予されると信じている」と述べ「米国も対中100%追加関税の適用を見送る可能性が高い」と説明した。
両首脳会談は、APEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議が開催される韓国・釜山ではなく、隣接する金海空港の空軍基地内接遇施設「ナレマル」が有力視されている。日本を経由した短期間の訪問日程での開催となるため、警備・機密保持の観点からこの会場が選ばれたとされる。
これにより、30日の釜山会談は、鋭く対立する構図を維持しながらも「拡大戦争回避」を示す象徴的な会合になる可能性がある。ベッセント長官は「中国は米国産農産物の輸入拡大と向精神薬原料物質(フェンタニル)問題の協力について合意した」と述べ「この会談は破局を避けるためのバランス点だ」と強調した。
南シナ海で高まる緊張と米海軍の安全管理
南シナ海は中国、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイなどが領有権を主張する極めて緊張の高い海域だ。中国は国際司法裁判所の判決にもかかわらず大半を自国の領海と主張し、軍事基地建設を進めてきた。米国は「航行の自由作戦(FONOP)」を通じて対抗しており、ニミッツ空母艦はその中核戦力として投入されている。

ニミッツ艦は1975年に就役したアメリカ海軍最古の空母で、来年退役を控えている。現在もインド太平洋地域で巡回作戦を続け、南シナ海での自由航行と海上安全保障任務に従事している。
今回の事故は、最近のアメリカ海軍空母打撃群の安全管理体制や装備老朽化への懸念を一段と強めるものとなった。先に誘導ミサイル巡洋艦 USSゲティズバーグは昨年12月中東海域でUSSハリー・S・トルーマン空母所属のF/A18戦闘機を誤認して撃墜する事故を起こした。さらに今年4月にはトルーマンの格納甲板からF/A18戦闘機が滑落し紅海へ墜落した。
これらの連続する事故はアメリカ海軍の航空作戦の安全管理と装備の老朽化問題に対する懸念を高めている。特にニミッツ艦が最後の任務を遂行中の状況で、相次ぐ機体損失は退役を控えた旧型空母の維持・整備体制が限界に達しているのではないかとの分析も出ている。














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