米国は中国の「希土類武器化」に対応するため、代替供給網の構築に乗り出した。米中ともに、ドナルド・トランプ米大統領と習近平中国国家主席の首脳会談を前に、貿易戦争の拡大を自制しているものの、常に希土類供給難が再発する可能性があるという危機感が形成されたことが影響している。

現地時間27日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は「数十億ドル規模の民間および政府資金がレアアース企業へ流入している」とし、「米国と同盟国は、この産業が中国の攻撃的な貿易慣行を抑制する盾の役割を果たすことを期待している」と報じた。
最近、金属専門投資会社であるオリオン・リソース・パートナーズは、米国と同盟国が重要鉱物を確保するために18億ドル(約2,736億円)規模の投資コンソーシアムを結成したと発表した。このコンソーシアムには、米国政府とアブダビ投資庁の資金も一部含まれており、短い期間内にレアアースなどの重要鉱物を市場へ安定的に供給することを目指している。
20日、トランプ大統領は、レアアースを武器化する中国に対応するため、鉱物資源が豊富なオーストラリアとの間で、重要鉱物および希土類の安定的な供給ネットワーク構築に向けた協定に署名した。これに連携し、合衆国輸出入銀行はオーストラリア国内の7つの鉱物プロジェクトに対して、22億ドル(約3,345億円)規模の金融支援を検討している。
このような動きは、4月に米国の高率関税に対する報復として中国がレアアース輸出を制御し始めたことから本格化。米国は中国産レアアースへの依存度が70%に達しており、輸出制御以降、フォードをはじめとする米国自動車メーカーの一部生産ラインが一時中断されるなど、産業全般に支障が生じた。
最近、マレーシアで開催された米中高官会談を契機に、中国がレアアース輸出制御を猶予する可能性を示唆したものの、中国に過度に依存したレアアース供給網がいつでも揺らぐ可能性があるという認識は既に確立している。これは、バイデン政権時代から、米国が対中先端半導体輸出制御に対応するために中国がレアアース輸出を制限してきたためである。
これに対し、トランプ大統領は3月、戦時状況下で主に使用される国防生産法(DPA)に基づき、レアアースなどの重要鉱物の採掘を支援する行政命令に署名した。この行政命令は、重要鉱物事業に対して金融や貸付などの投資支援を提供することを主たる内容とし、レアアース供給において、今後中国に依存しないという意志を明確に示したものである。
レアアース産業コンサルタントのジョン・オマロード氏は、中国が「眠れる巨人を起こした」と評価している。WSJによると、小売および民間投資家もレアアースに数十億ドルを注ぎ込み、関連企業の株価が急騰している。米国を代表するレアアース採掘企業であるMPマテリアルズの株価は、今年だけで約4倍に跳ね上がり、時価総額は約120億ドル(約1兆8,244億円)に達した。
米国政府も早くからレアアース産業の復興を本格的に支援している。国防部は7月、MPマテリアルズに対して価格下限を保証することを決定したが、これは中国国営鉱物企業の過剰生産により価格が暴落する状況下で、自国産業を保護するための措置である。
WSJは「今回の投資ブームは、中国のレアアースの武器化が西側におけるレアアース産業の復活を引き起こしたことを示している」とし、「米国が中国の先端半導体へのアクセスを制限したことが、逆に中国の半導体開発を加速させた状況と類似している」と評価している。














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