イスラエル、人質遺体返還の遅れを理由に空爆再開
ガザ市中心部や病院周辺にも攻撃
ハマスは意図的遅延の疑いを否定
「イスラエルが一方的に合意を破った」
トランプ大統領は停戦維持の姿勢を堅持

イスラエルが、パレスチナ武装勢力ハマスによる人質遺体の引き渡しが遅れていることを理由に、停戦発効から19日でガザ地区への軍事作戦を再開した。ドナルド・トランプ米大統領の強硬な仲介によって辛うじて成立した停戦が崩壊するのではないかとの懸念が広がっている。
イスラエル首相府は28日午後、「ネタニヤフ首相が安全保障会議の協議に基づき、ガザ地区への即時かつ強力な攻撃を軍に命じた」とする声明を発表した。イスラエル・カッツ国防相も「ハマスは同日、ラファフでイスラエル軍を攻撃し、人質返還の合意にも違反した」と非難し、「重大な代償を払うことになる」と警告した。
AFP通信によると、ガザ地区の民防当局は「今回の空爆で少なくとも30人が死亡し、数十人が負傷した」と述べ、「救助隊が崩壊した建物のがれきを捜索しており、死傷者はさらに増える可能性がある」と伝えた。
イスラエル軍は、ガザ市南部のサブラ地区やハーンユーニス、アル・シファ病院付近などを空爆した。前夜、ハマスが引き渡した人質の遺体が、拘束中の13人のうちの1人ではなく、2023年12月に死亡したイスラエル人オフィル・ツァルファティ氏であることが確認された直後に攻撃が行われたという。
軍はまた、ハマス戦闘員が建物からツァルファティ氏の遺体の一部を取り出し、重機で掘った穴に埋めた後、赤十字国際委員会(ICRC)に「遺体を発見した」と虚偽の報告をする様子を撮影した映像を公開。「ハマスが遺体を返還する意思がないことを示す明白な証拠だ」と主張し、「重機不足で引き渡しが遅れているという主張は虚偽だ」と非難した。
これに対し、ハマスは空爆直後に「イスラエルの一方的な攻撃が停戦合意を破った」と表明し、追加で発見した人質遺体の引き渡しを延期すると発表した。ハマス政治局のスハイル・アルヒンディ氏は『アルジャジーラ』のインタビューで「イスラエルはわれわれに対する虚偽の非難をやめるべきだ」と反論。「遺体を隠したり返還を遅らせたりする意図はなく、合意を完全に順守している」と述べた。
イスラエルの空爆で、辛うじて続いていた停戦が再び崩壊するとの懸念が高まるなか、トルコ外務省は「今回の空爆は停戦合意への明白な違反であり、民間人の死傷報告に深い懸念を表明する」として、停戦の維持を呼びかけた。
トランプ大統領は29日、韓国へ向かう専用機「エアフォースワン」内で記者団に対し、「ガザ停戦を危うくするようなことは何も起きていない」と述べ、停戦維持の意思を強調した。ラファフでのハマスによるイスラエル軍への攻撃を非難しつつ、「ハマスが兵士を殺害した以上、イスラエルの反撃は正当だ。そうした状況では反撃は避けられない」と語り、今回の攻撃が停戦違反には当たらないとの認識を示した。














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