
中国やロシアのスパイがシリコンバレーでIT産業従事者を誘惑し、営業機密を盗んでいるとの報道を受け、かつて美人計で諜報活動を行っていたロシア出身の元スパイ、アリア・ローザ氏が「IT従事者は美人計の心理操作に弱い」と明かした。
ローザ氏は現地時間28日、ニューヨーク・ポストのインタビューで、美人計要員が「標的の感情や気分、あらゆる行動を操る」と語った。
これに先立ち、英国紙「ザ・タイムズ」は先週、中国とロシアの美人計要員がシリコンバレーの米IT企業で営業機密を入手するため、技術系の専門職に接近していると報じた。同紙は元防諜要員の話として、最近ロシアのスパイが航空宇宙企業に勤務しながら、米国人同僚と結婚・子育てをしつつ情報収集活動を続けていると伝えた。
ローザ氏はこの報道に同意し、シリコンバレーのIT従業員が美人計に引っかからないための注意点をいくつか紹介した。要員は、標的が「狙われている」と気づく前に防御線を崩すよう設計された作戦に従うという。
また、ローザ氏によれば、美人計要員は「本格的に接触する前に、正確には7回も標的の生活に現れる」といい、カフェやジムに現れたり、SNS投稿に『いいね』を押し続けたりする。そうして実際に会う時には、標的の脳はすでに要員を信頼している状態になっているという。一度親密感が形成されると、称賛やセルフィーを通じた愛情攻勢で弱さや孤独を演出し、相手の英雄心理を刺激するという。
さらに、要員は「上司はあなたを認めていない」、「同僚はあなたを利用している」といった言葉で自己疑念を植え付けるという。また、男性側は「互いに理解している」という絆を感じ、それ以外の人は信用できないと考えるようになる。情報提供を求められた際に拒否すると「関係が壊れるかもしれない」という恐怖を与え、感情に巻き込まれると普段なら絶対に諦めないことも手放してしまうとローザ氏は指摘した。

ローザ氏は、多くのIT従事者が孤立し過労気味であるため、スパイの接近に弱いと警告した。「彼らは仕事上では天才的かもしれないが、恋愛面では疎いことが多い。突然異性に近寄られた時は徹底的に疑うべきだ」と助言した。最も有効な防御策としては「体系的な懐疑心」を持ち、「会話のペースを落とし、オフラインで身元を確認し、秘密情報の要求には応じないこと」と述べた。
なお、ローザ氏は10代の頃、ロシアで「誘惑要員」として訓練を受け、欧州と英国で諜報活動を行った後、2020年に米国へ移住したという。














コメント0