ウクライナ東部の要衝制圧を軍に指示
「ドンバスを自力で掌握後、米国と交渉」との見方も
一部で突破報告、ISW「前線崩壊の可能性は低い」

ウラジーミル・プーチン・ロシア大統領が、来月中旬までにウクライナ東部の要衝ポクロウシクを制圧するよう軍に指示したと報じられた。
ロシアの休戦条件であるドンバス(ドネツク・ルハンシク)全域の割譲をウクライナが拒否する中、ドネツク州の未占領地域を自力で掌握したうえで、米国との終戦交渉を本格化させる狙いがあるとみられる。
米安全保障専門誌ナショナル・インタレストが29日(現地時間)、英フィナンシャル・タイムズ(FT)の報道を引用して伝えたところによると、プーチン大統領は最近、ロシア軍指揮部に「11月中旬までにポクロウシクを掌握せよ」と命じたという。
ドネツク州の要塞都市ポクロウシクは、ウクライナ軍東部防衛線の中核をなす拠点である。ロシア軍はルハンシク州のほぼ全域とドネツク州のおよそ75%を制圧したとされるが、ドネツク中心部への進入口であるポクロウシクは、2024年2月の最初の攻勢以降、20か月以上にわたり突破できていない。
ウクライナ軍の発表や各国メディアの報道を総合すると、ロシア軍の一部部隊はすでに市内へ侵入したとみられる。ウクライナ軍第7迅速対応軍団は29日、「ポクロウシク包囲作戦のため、敵軍約1万1,000人が投入された。市内への侵入に成功した部隊は北側への進出を図っている」と発表した。
独立系メディア「キーウ・インディペンデント」も同日、「1年以上にわたって激戦が続いたドネツクの大都市防衛線が崩れ始めている。数百人規模のロシア軍が都市の境界を突破した」と伝えた。
ただし、ウクライナ側は「防衛線が完全に崩壊したわけではなく、ロシアが主張する『全包囲』は事実と異なる」と反論している。米国のシンクタンクも、短期間でのポクロウシク制圧は不可能との見方を示した。
RBCウクライナは、「一部ロシア軍の侵入は確認されたが、ウクライナ軍が完全に包囲されたとの報道は誤りだ。前線各地で激しい戦闘が続いている」と伝えた。
米戦争研究所(ISW)は、「プーチン大統領は要衝制圧に際し、非現実的な期限を繰り返し提示してきた」と指摘し、ロシア軍は都市外縁部に到達したものの、ポクロウシク前線が即座に崩壊する可能性は低いとの見解を示した。
同研究所はさらに、「2025年10月末の時点でもロシア軍はドネツク主要都市を一つも掌握できておらず、ドンバス最大の未占領都市であるポクロウシクの制圧には、数か月ではなく数年を要する」との見通しを示している。
 
            


















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