
欧州委員会が戦争発生時に戦車と重砲を欧州全域に輸送するため、加盟国が輸送手段を共同利用する方策を推進中だと、英フィナンシャル・タイムズ(FT)が30日(現地時間)に報じた。
事情に詳しい関係者によると、ロシアがウクライナを越えて追加侵攻を続ける場合に備え、EU加盟国の政府がアクセスできる「軍事モビリティ」資産を構築するアイデアが議論されているという。
具体的には、EU加盟国が軍事資産移動が必要な他の加盟国に保有する船舶、航空機、トラックなどを提供する方式で運用する方針を検討中だ。これに向けて欧州委員会は、まず各加盟国に保有する軍事輸送資産の登録を求める可能性がある。EUが独自にトラックと鉄道車両を保有する方策も検討中だが、予算制約のため現実的な困難があると関係者は述べた。
このような輸送手段の共有は、EUが山火事シーズンに消防装備を共有するモデルから着想を得たものだ。ただし、軍事資産輸送にははるかに複雑なシステムが必要だとFTは指摘している。
欧州鉄道・インフラ会社共同体(CER)によると、兵士1万5,000人、車両7,500台規模の機動師団輸送には42両編成の列車約200編成が必要だという。また、軍事資産を運搬するには鉄道貨車の軸当たりの荷重が最低22.5tに耐えられなければならない。

物流ハブの中心的役割は欧州中央に位置するドイツが担う。ドイツ政府は国営鉄道「ドイツ鉄道」の貨物部門と協定を結び、戦車と装甲車の輸送を支援することを決めた。また、ドイツ連邦軍は防衛産業企業「ラインメタル」と協約を締結し、自国を通過する軍事護送隊を支援することにした。民間航空会社「ルフトハンザドイツ航空」も航空機整備及び戦闘機操縦士訓練を支援できると今年初めに表明した。
今回の計画はEUが加盟国軍の迅速な欧州内移動を保証するために推進する複数の措置の一つだ。他の措置としては通関書類の簡素化、鉄道規格の統一、橋梁の安全性強化などがある。
これに先立ち、欧州委員会は先月発表した白書で「2027年末までにEU全域に統合軍事モビリティ区域を構築する」と述べた。欧州委員会は欧州内で軍隊が移動する時間を短縮するための交通インフラ改善及び通関手続き簡素化方策を来月提案する予定である。
EUの軍事モビリティ資産共有推進は、米国の欧州安全保障自立要求などに対応し、欧州が防衛能力を拡大しようとする努力の一環だ。特に最近、ロシア軍用機の北大西洋条約機構(NATO)空域侵入が相次いでおり、欧州が防衛力を強化する必要性がさらに高まっている。EU指導者たちも先週のEU首脳会議で、欧州東部前線が直面する脅威、ロシアと国境を接する国への支援などが緊急に解決すべき課題だと強調した。
 
            


















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