
韓国のイ・ジェミョン大統領と中国の習近平国家主席が1日、政権発足後初の韓中首脳会談で両国関係の復元に合意した。韓国企業への制裁、限韓令(韓流締め出し)など敏感な問題については実務協議を通じて解決策を探ることにした。
韓国のウィ・ソンラク国家安保室長は会談直後、慶州・国際メディアセンターで行ったブリーフィングで「今回の会談で韓中関係を全面的に復元する成果があった」とし、「韓中関係の発展を確実にするため、両国政府間の政治的な信頼を確保し、民間レベルでも友好的な信頼の蓄積を並行して進めることにした」と明らかにした。
ウィ室長は、会談で中国のハンファオーシャン制裁に関する言及があったかという質問に「生産的な議論があった」とし、「米中問題が解決に向かえば、ハンファオーシャンの件も生産的な進展が期待できる。互いに実務的な協議を進めていこうという共通認識があった」と説明した。
両国首脳は西海(黄海)の人工構造物問題と限韓令など他の敏感な問題も議論した。ウィ室長は「互いに実務的な協議を進め、コミュニケーションを取りながら問題解決を図ろうという共通認識があった」と述べた。朝鮮半島問題について習主席は「朝鮮半島の平和と安定のための努力を継続する」との立場を示した。
両国はまた、5年満期70兆ウォン(約4,000億元・約7兆5,375億円)規模の「ウォン・人民元通貨スワップ契約」など7件の覚書(MOU)を締結し、韓中自由貿易協定(FTA)第2段階交渉の加速化にも合意した。
今回の会談は、習主席が慶州でのアジア太平洋経済協力体(APEC)首脳会議を機に11年ぶりに国賓として韓国を訪問したことで実現した。会談は1時間35分ほど行われた。

両国首脳が韓中関係の復元に合意したことで、2016年のTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)配備問題以降こじれた関係が全面的に改善されるか注目される。今後の各種実務協議で両国の敏感な問題をどう管理していくかが鍵になる。
イ大統領は2日、Facebookに投稿し「韓中関係を全面的に回復し、戦略的協力パートナーとして実用と互恵の道を再び共に歩むことになった点で非常に意義深い」とし、「何より『民生が最も重要』という共通認識を基に、両国国民が実感できる実質的な成果を出すため、様々な分野で具体的な協力策を講じる」と強調した。
両首脳が今回の会談で関係復元に合意したのは、米中貿易戦争などで地域内外の不確実性が高まる中、両国とも互いの協力が必要だと判断したためと分析される。イ大統領は「安米経米」(安全保障と経済の両面で米国に依存)の流れに対する中国の懸念を和らげ、代わりに「民生協力」を名目に中国との協力関係を復元することに焦点を当てたと評価される。
特に中国のハンファオーシャン制裁や西海での人工構造物設置、限韓令など敏感な問題の解決策を見出すには、両国関係の復元が優先されるべきだと判断したとみられる。
中国側は韓国の原子力潜水艦建造承認などに「慎重な姿勢」を示した。中国にとっても韓国との協力の重要性が依然として小さくないことを意味する。ウィ室長は韓中首脳会談で原子力潜水艦に関する習主席の反応があったかという質問に「様々な安全保障問題も取り上げられた」とし、原子力潜水艦が両国間の敏感な問題であることを示唆するように具体的な言及を避けた。続けて「原子力潜水艦を建造するには、米国が全般的に承認する必要がある」とし、「我々が主に(米国に要請した)のは、燃料に関する部分だ」と述べた。
習主席はイ大統領に中国訪問も要請した。これに対しイ大統領はFacebookを通じて「近いうちに中国を訪問し、両国がより近い隣国として発展することを期待する」と表明した。
両国が民生協力に関して首脳会談を機に締結した「ウォン・人民元通貨スワップ契約」は既存契約を延長したものだ。また韓中FTA「第2段階交渉」の制度的基盤を支える「サービス貿易交流・協力強化に関するMOU」を締結することで交渉が加速する見込みだ。政府関係者は「2018年に始まった第2段階交渉は新型コロナウイルス感染症の世界的流行で停滞したが、パンデミック後に再開され、今年だけで3回の交渉が行われた」とし、「第1段階協定にもサービス・投資分野が含まれているが、第2段階では両国の関心分野を中心にこれを強化することを目指している」と説明した。














コメント0