
米政府の一部機能が停止する「シャットダウン」が5日に歴代最長記録を更新する見込みの中、米民主党が米国のドナルド・トランプ大統領にシャットダウン終結のため即時介入を促した。
米民主党の上院議員らがシャットダウン終結のためトランプ大統領の直接介入を再度求めたと、米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が2日(現地時間)報じた。バージニア州選出のティム・ケイン上院議員(民主党)はこの日、ABCの「ジス・ウィーク」に出演し、「米国民に課された請求額が急騰しないようにしたい。トランプ大統領にもこれに同意して止めてほしい」と述べ、「大統領が介入すれば、数時間以内に合意できる」と語った。
同じくバージニア州選出のマーク・ウォーナー上院議員(民主党)もCBSの「フェイス・ザ・ネーション」に出演し、シャットダウンが今週中に終わることを望むと述べ、「トランプ大統領の積極的な介入が必要だ」と強調した。
ホワイトハウス側はまだトランプ大統領の介入可能性について何の兆しも示していない。ホワイトハウスのアビゲイル・ジャクソン副報道官は「民主党が米国民を人質にする行為を中止し、政府を再稼働させる時に政策議論に入る」と述べた。
共和党所属のマイク・ジョンソン下院議長(ルイジアナ州)は「FOXニュース・サンデー」に出演し、「民主党が政治的な駆け引きをしている」とし、「上院が下院ですでに可決した法案をそのまま可決するのが最も簡単な道だ」と主張した。
これに先立ち、共和党は9月19日に米下院で現行の支出水準を維持する「つなぎ予算(clean CR)」を可決したが、同日上院で民主党の反対により法案の最終可決が阻止された。民主党は年末に終了する公的医療保険「オバマケア(ACA)」補助金の支給延長などを要求し、共和党主導のclean CRに反対した。
トランプ大統領と与野党の議会指導部が2025会計年度最終日の9月30日の前日(29日)にホワイトハウスで会合したが、合意に至らなかった。上院はシャットダウン回避のため9月30日に7週間の共和党clean CRを採決(可決定数60票)にかけたが、賛成55対反対45で否決され、民主党が独自に提案したつなぎ予算案も同様に否決された。
共和党が上院でいかなる法案も可決させるには、民主党の協力が必要な状況だ。現在、上院で共和党は53議席、民主党は47議席を有しているが、フィリバスター規定により法案可決には60票が必要だ。同紙は先週末、与野党がオバマケア交渉で進展を見せたが、トランプ大統領はむしろ共和党側に民主党を「無視」できるよう上院規則の変更を要求したと伝えた。
トランプ大統領はSNSの「トゥルース・ソーシャル」に投稿し、「共和党が上院でフィリバスターを廃止すれば、51票の単純過半数で採決が可能だ」とし、「これによりシャットダウンを終わらせ、我々のすべての議題を通過させられる」と主張した。
WSJはシャットダウン事態が重要な局面に入ったとし、今週歴代最長のシャットダウンを記録する可能性があると予測した。シャットダウンは現在1か月を超えている。先月1日から始まったシャットダウンは、36日目となる今月5日に最長記録を更新する。既存の最長記録はトランプ政権1期の35日間(2018年12月22日~2019年1月25日)だった。5日0時まで与野党がシャットダウン中断で合意できなければ、シャットダウン最長記録を更新することになる。
トランプ政権1期の歴代最長シャットダウンは、国境の壁建設資金問題を巡る与野党対立が原因だった。政権2期にはトランプ大統領の再選で与野党の政治対立が激化し、共和党主導でメディケア予算削減、「オバマケア」補助金支給拒否など保健福祉問題が争点になった。
シャットダウンにより米国民はすでに各地で困難に直面している。米主要空港ではこの日、シャットダウンに伴う人員不足で多数の便が遅延した。米連邦航空局(FAA)によると、ニューアーク・リバティー国際空港に到着する便は平均3時間以上遅延し、ヒューストンのジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル空港では米運輸保安庁(TSA)の人員不足で待機時間が90分を超える可能性があるとの警告があった。
また、シャットダウンが長引けば、米国の低所得層4,200万人への食料品補助金支給が史上初めて中断され、大きな波紋を呼ぶと予想される。米農務省はシャットダウンにより今月1日から「補足栄養支援プログラム (SNAP) 」の補助金支給を中断した。低所得層世帯の食料品購入費を補助するSNAPが中断されたのは、1964年の制度導入以来初めてだ。
導入当初は実物クーポンで支給され「フードスタンプ」と呼ばれていたが、現在は電子給付転送カード(EBT)に支援金が入金される仕組みだ。米国民約8人に1人がこのプログラムの恩恵を受けており、シャットダウンにより毎月約100億ドル(約1兆5,405億円・1人当たり約250~300ドル(約3万8,514円~4万6,215円))の補助金が途絶えた。
シャットダウン初期には保健福祉問題が争点だったが、長期化でSNAP補助金が中断され、低所得層の「食卓の民意」が政局の核心問題として浮上した。SNAP中断に関し、米メディアは2日(現地時間)、トランプ政権側にさらに責任があると指摘した。補助金中断の一次的責任が政府・与党にある上、トランプ政権が当初SNAPのような低所得層支援に消極的だったという。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)はSNAP中断が「トランプ大統領が長年削減しようとしてきた政府機能に頼らざるを得ない不運な人々に不均衡で深刻な危険をもたらした」と批判した。政治専門メディアのポリティコなどは、トランプ政権が約50億ドル(約7,702億7,478万円)規模の農務省緊急資金や「貿易戦争」で得た関税収入を活用できたにもかかわらず、これを実行しなかったと指摘した。














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