中国・インド産輸入品への関税急騰で被害…大統領権限の濫用を訴え集団訴訟
アメリカのシカゴ近郊にある玩具メーカーが、ドナルド・トランプ米大統領による大規模な関税政策は「大統領権限の乱用だ」として、連邦最高裁判所で法廷闘争を繰り広げている。今回の訴訟は、トランプ大統領が課したほぼ全ての関税の無効化を求めるもので、米経済に極めて大きな影響を及ぼす重要な判決になるとみられている。

2日(現地時間)、ブルームバーグ通信によると、訴訟の原告は教育玩具メーカー「ラーニングリソーシズ」と「ハンドトゥーマインド」を運営するリック・ワルデンバーグCEOだ。ワルデンバーグCEOは、子どもが感情をコントロールできるよう支援する玩具「バブルフラッシー・ヨガボール・バディ」が、トランプ政権の関税政策によって大きな打撃を受けたと訴えている。
この製品は当初、中国で生産される予定だったが、トランプ大統領が今年4月、中国製輸入品に145%という高関税を課したため、生産拠点をインドに移した。しかしその後、中国製品への関税が引き下げられ、逆にインド製品に50%の関税が課されたことで、再び生産ラインが混乱したという。ワルデンバーグCEOは「商品がインドから出荷したものの、米国到着が6時間遅れただけで5万ドル(約770万2,653円)の罰金を科された」と明かした。
ワルデンバーグCEOは今年4月、トランプ大統領の関税政策は大統領権限を逸脱しているとして、無効を求める訴訟を起こした。現在この事件は連邦最高裁で審理が進められており、判決によっては数兆ドル規模の通商政策が覆る可能性がある。

トランプ政権は当時「国家非常事態への対応」を名目に、1977年制定の国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき関税を課していた。
しかし原告側は「同法は大統領に関税を課す権限を与えておらず、関税を定める権限は憲法上、議会にのみ認められている」と反論している。
スタンフォード大学ロースクールのマイケル・マコネル教授も「大統領は議会の承認なしに国民へ課税できない。関税とは実質的に輸入業者に課す税金だ」と指摘している。
もし連邦最高裁がトランプ大統領側の主張を認めた場合、大統領が「国家非常事態」を理由に単独で貿易政策を決定できる前例を作ることになる。
一方、関税が違憲と判断されれば、中小企業は1,000億ドル(約15兆4,033億9,100万円)規模の関税返還を求めることが可能になる。
ワルデンバーグCEOは「大手輸入業者は沈黙しているが、中小企業にとっては生き残りがかかっている」と語り「米国内で500人の雇用を維持し、年間売上2億5,000万ドル(約385億684万5,000円)の企業を守るために戦っている」と訴えた。
海外メディアによると、この訴訟には民主党系の州司法長官12人と中小企業5社が加わり、数百社の中小輸入業者が支援している。一方で、ゼネラルモーターズやウォルマートなどの大手輸入企業は、今回の訴訟に参加していないという。
トランプ大統領はこの件について「米国史上最も重要な最高裁判決になる」と主張している。
ホワイトハウスは「関税政策によって、米国内で数兆ドル規模の製造投資と雇用創出が進んでいる」と反論している。














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