ニューヨークに住むある夫妻が寝室とリビングを直接狙う外部監視カメラを問題視し、「プライバシーを侵害する」としてニューヨーク市警察(NYPD)を相手に訴訟を起こした。

ニューヨークのブルックリン・ベッドフォード・スタイベサント地区に住むパメラ・ウィルト氏とロバート・ソーブ氏の両氏は、自分たちのアパートの建物に向けられた警察の監視カメラがプライバシーを侵害していると主張し、27日にニューヨーク連邦裁判所に訴状を提出した。
29日(現地時間)、『ニューヨーク・ポスト』は、訴状では、夫妻がNYPDが家のすぐ前に設置した2つのカメラが付いた箱型のDAS(ドメイン・アウェアネス・システム)の継続的な監視下で生活していると主張していると伝えた。カメラはリビングと寝室の窓を直接狙っているという。DASは固定型カメラやドローンカメラなど、都市全体を監視するシステムを指す。
訴状は、カメラの存在が本来安全であるべき空間を不安の空間に変えてしまったと指摘している。夫妻は、カメラの視界を遮るため窓をアルミホイルで覆い、その結果、日光や外の景色を楽しむ単純な権利さえも奪われたと訴えた。 さらに夫妻は、DASがプライバシーと表現の自由を保障する合衆国憲法修正第1条と第4条に違反していると主張している。
訴状には「あなたは監視されている」という文言とともに、今日のニューヨーク市全域で警察が市民をほぼどこでも、常に監視し、追跡し、記録していると記されている。 今回の訴訟は、NYPDの監視システムを問題視する初の訴訟だと報じられている。過去にも30億ドル(約4,600億円)規模のNYPD監視システムの一部を問題視する訴訟があったが、今回の訴訟はより広範な憲法的被害に焦点を当てていると米メディアの『ザ・インターセプト』は報じた。
特に訴状は、DASが米国社会に対する前例のない侵害であり、今や世界で最も巨大な監視網の一つとして確立されたと指摘している。統合されたデータにより、NYPDが個別の情報源では知り得ない政治的表現、宗教活動、私的交流など憲法で保護された活動を明らかにできるとしている。 さらに、NYPDが都市に住むか出入りするすべての人の身元、位置、金融情報、車両情報、ソーシャルメディア活動、友人関係を収集していると主張している。この情報が民事および刑事記録と結びつきデジタルプロファイルに変換され、事実上数百万人のプライバシーを再構成しており、これを避けることはほぼ不可能だとしている。
夫妻の弁護士であるアルバート・フォックス・カーン氏は「NYPDについてどう考えようと、民主主義国家である米国のニューヨーク市で政府機関が設置したカメラのために自分の私有地内でさえ生活様式を再考しなければならないのは恐ろしいことだ」と述べた。
もう一人の弁護士であるアンドリュー・ウィルソン氏は「このカメラは技術監視の氷山の一角に過ぎない」とした上で、「今我々が直面しているのはディストピア的な監視機械であり、今回の訴訟は世界で最も精巧で広範な監視システムの一つを制御するための試みだ」と訴えた。
NYPDは今回の訴訟に関する取材陣の質問に応じていないという。













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