OpenAI、AWSとクラウド契約
上場準備の一環との見方も
Amazon株、4%急騰

OpenAIは3日(現地時間)、Amazon Web Services(AWS)と総額380億ドル(約6兆円)規模のクラウドインフラ契約を締結したと発表した。同社がマイクロソフト(MS)のクラウド基盤から離れ、Amazonと提携するのは初めてだ。
今回の契約により、OpenAIは米国内のAWSインフラ上で、エヌビディア(NVIDIA)製GPUを活用した大規模なAI演算を即座に開始する見通しだ。AWSはOpenAI専用のインフラを新たに構築する計画である。
この発表を受け、Amazonの株価は4%上昇し、史上最高値で取引を終えた。直近2日間では14%上昇し、2022年11月以来の最大の上げ幅を記録した。
クラウド競争、新たな局面へ

OpenAIは2019年以降、MSから累計130億ドル(約2兆円)の出資を受け、同社のクラウドサービスを利用してきた。しかし、今年初めにMSの独占条項が失効し、同社はOpenAIの新規案件に対する「優先交渉権」だけを保持する形となっていた。
先週、その優先交渉権が期限切れとなり、OpenAIは他のハイパースケーラーと自由に契約できるようになった。同社はすでにオラクルやGoogleともクラウド契約を結んでおり、今回のAWSとの提携はその中でも最大規模で、戦略的にも極めて重要なものとみられる。
OpenAIのサム・アルトマンCEOは声明で、「次世代AIを拡張していくには、巨大で信頼性の高いコンピューティング環境が不可欠だ。AWSとの提携は、この新しい時代の基盤を築く重要な転換点になる」と強調した。
AWSがOpenAI専用AIインフラを構築へ
AWSは当面、既存のデータセンターの容量を優先的に活用し、その後、OpenAI専用のAIインフラを増設する計画だ。
同社のコンピュート・機械学習部門のデイブ・ブラウン副社長は『CNBC』のインタビューで「今回の契約は完全に独立したリソースで構成される。一部の設備はすでにOpenAIが利用を始めている」と述べた。
マット・ガーマンCEOも「AWSは幅広く、即時に利用可能な最適化された演算インフラを提供できる唯一の事業者だ。OpenAIの膨大なAIワークロードを支える準備が整っている」と語った。
Amazonのクラウド部門は、直近の四半期で前年同期比20%超の売上増を記録し、市場予想を上回った。しかし、マイクロソフト(40%増)やGoogle(34%増)には及ばない。AWSは今回の契約で、OpenAIという超大型顧客を獲得することで、AI分野での主導権奪還を狙う。
契約はエヌビディアの最新GPU「ブラックウェル」シリーズ2種を中核に構成されており、今後、追加の半導体を導入する可能性もある。なお、AWS独自のAIチップ「Trainium(トレーニウム)」は現在、OpenAIの競合企業Anthropic(アンソロピック)が使用中だ。AmazonはAnthropicに数十億ドル(約数千億円)を出資しており、インディアナ州ニュー・カーライルに110億ドル(約1.7兆円)規模のAI専用データセンター群を建設している。
IPO準備、加速へ
今回の契約は、OpenAIがIPO(新規株式公開)に向けた準備を進める一環との見方もある。同社が財務や経営構造を上場に合わせて整備している過程とみられる。OpenAIはMSのほか、AWS、Google、オラクルなど複数のクラウド事業者と長期契約を結び、パートナーシップの多角化を進めている。特定企業への依存を避けつつ、安定的で柔軟なインフラ基盤を確保する狙いだ。
アルトマンCEOは最近のライブ配信で「資本需要を踏まえれば、上場が最も現実的な選択肢だ」と述べた。また、サラ・プライアー最高財務責任者も「最近の組織再編はIPOに向けた不可欠なステップだ」と語っている。
















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