戦死か負傷まで戦場に――実質「終身契約」の現実
18~22歳の予備兵がドイツなど周辺国へ急増流出
兵士の負担軽減と「志願入隊」促進が狙い

戦争の長期化によって兵力不足に苦しむウクライナが、これまで無期限だった義務兵役期間を「1~5年の契約制」に切り替える。ロシアとの戦争が3年8か月を超える中、疲弊した兵士の負担を軽減し、入隊への意欲を高める狙いがある。
これまで前線に投入された兵士たちは無期限契約のもとで勤務しており、戦死または負傷するまで戦場を離れられなかった。事実上、終身契約に近い形だった。そのため若者の入隊忌避が進み、当局は新兵の確保に苦戦していた。ドイツなど海外へ脱出する若者も急増し、予備兵力の流出が加速している。
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、デニス・シュミハリ国防相は3日(現地時間)、「現役兵と新入隊員の双方が1年から最長5年までの有期契約を結ぶ方式に改める」と発表した。さらに「2年以上の契約を結んだ場合、契約満了後に動員令の対象となるまで1年間の猶予を受けられる」と説明した。
ロシアの侵攻が始まった2022年以降、戦場に送られた若者たちは無期限契約のまま勤務しており、将来設計を立てることもできなかった。その結果、志願入隊の熱意は冷え込み、十分な交代要員を確保できない状況が続いていた。戦闘部隊の高齢化も進み、ウクライナ兵の平均年齢は43歳と、ロシア軍(38歳)よりも5歳高い。シュミハリ国防相が「新しい契約制度は公正さと予測可能性を重視するもので、給与の引き上げや契約金の支給、社会保障の拡充も含まれる」と強調したのはこのためである。
兵力不足の解消につながるかは不透明

ただ、この措置が兵力難の解決に結びつくかは見通せない。徴兵制度の改善を求めてきた野党議員オレクシー・ゴンチャレンコ氏は「有期契約の導入自体は歓迎するが、実際の改革にここまで時間がかかったのは残念だ」と語った。
ウクライナ議会は昨年、徴兵制度改革の一環として「3年勤務後に自動除隊できる条項」を検討していた。しかし軍当局が「前線が不安定な状況で兵士の除隊は不可能だ」と主張し、最終的に削除された経緯がある。
その間にも、予備兵力である20代前半の男性の国外流出は続いた。戦争直後に18~60歳の男性に出国禁止措置を課していた政府は、昨年8月に18~22歳の若者に限って出入国制限を緩和した。その結果、ドイツ内務省によると、18~22歳のウクライナ人入国者は8月中旬には週19人だったが、9月には1,000人を超え、先月には週1,400~1,800人にまで急増したという。
戦争勃発直後、徴兵年齢は27歳以上に設定されていたが、長期化を受けて昨年4月に25歳へ引き下げられた。現在、ウクライナを支援する米国や欧州諸国は、前線維持のために兵力をさらに拡大する必要があるとして、徴兵年齢を18歳に引き下げるよう求めている。しかしウクライナ政府は「未来の世代を守らなければならない」としてこれに反対している。















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