米国で若年層離れ
中国ではラッキンコーヒーに押され事業売却

世界最大のコーヒーチェーン「スターバックス(スタバ)」の牙城が揺らいでいる。若年層の消費行動の変化に加え、低価格コーヒーの台頭が続くなか、米国では成長率首位の座を明け渡した。また中国では地場チェーンの攻勢に押され、経営権の一部を投資ファンドに売却する事態となった。
米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』は3日(現地時間)、「スタバはもはや街角の『主役』ではない」と報じ、同社の市場低迷に焦点を当てた。報道によれば、米国内のスタバ売上高は7四半期連続で減少している。金融大手UBSの集計では、2019年から昨年にかけて同社の米国市場シェアは1.3%拡大したものの、成長率1位は米国第3位のコーヒーフランチャイズ「ダッチ・ブロス(Dutch Bros)」の1.7%だった。WSJはまた、「スタバは、より迅速で個性的なサービスを求める若年層の嗜好に合わなくなっている」と指摘。「若い世代は『コーヒーを飲む』のではなく、『写真を撮る』」と分析した。
スタバがアメリカーノを中心にコーヒー文化の大衆化を進めてきたのに対し、ダッチ・ブロスは鮮やかな色合いのアイスドリンクで若者層を取り込んでいる。さらに、スピードを強みとするドライブスルー型店舗を展開し、テイクアウト需要に特化した。2021年に500店だった店舗数はわずか2年で1,000店に倍増し、昨年の売上高は13億ドル(約2,000億円)に達した。
中国市場でも状況は同様だ。スタバは中国進出から26年が経過したが、地場チェーンによる低価格戦略とナショナリズムの高まりに押され、中国事業の経営権60%を約40億ドル(約6,000億円)で投資ファンドに売却した。ブライアン・ニコルCEOは「博裕資本(Boyu Capital)と合弁会社を設立し、スタバは40%の持ち分を維持する」と説明した。中国事業の経営権を取得した博裕資本は江沢民元国家主席の孫、江志成(Alvin Jiang)氏が共同設立した投資会社だ。
もっとも、2021年に韓国市場で新世界グループへ株式を売却した際は、現地化の強化が功を奏した。しかし今回の中国事業の売却は、地場大手「ラッキンコーヒー(瑞幸珈琲)」の攻勢に押された側面が大きい。スタバは1999年に北京で1号店を開いたが、2017年に設立されたラッキンコーヒーの低価格戦略により、2023年には中国市場の首位を明け渡した。今年第2四半期の売上高は、ラッキンコーヒーが123億元(約2,700億円)、一方のスタバは56億元(約1,200億円)にとどまった。1杯20元(約430円)台のラッキンコーヒーは、スタバより約10元(約215円)安い価格帯で、中国全土に約2万6,000店を展開し急成長している。














コメント0