「高物価で民心を失った」との分析が出た選挙惨敗後
トランプ大統領「祝日シーズンの物価を25%下げた」と主張
実際は調査対象の品目が昨年の半分だったことが判明

米ウォルマートによると「トランプ政権下の2025年の祝日シーズンの物価は、バイデン政権下だった2024年より25%低い」という。ドナルド・トランプ米大統領はこれを引用し、6日(現地時間)、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」にこう投稿した。
「私が示すコストは、すべての面で民主党より低い。特にガソリンやエネルギー価格がそうだ。だから民主党が言う『生活物価高』の問題はもう終わりだ。嘘をやめろ」
この投稿は、ニューヨーク市長選やバージニア州・ニュージャージー州知事選で共和党が惨敗した直後に出された「反論」だった。
政界では、共和党の敗因について「トランプ第2次政権の経済政策が招いた生活物価上昇に有権者が怒りと失望を示したため」との見方が支配的である。トランプ大統領はウォルマートの祝日の物価比較データを根拠に「物価は上がっていない」と主張し、自身への経済運営批判を否定した。
しかし、トランプ大統領が誇った「物価25%低下」は、比較方法に誤りがあることが明らかになった。
ウォルマートのジョン・ファーナーCEOは声明で「2025年のホリデーディナーの価格は計40ドル(約6,157円)で、2024年の55ドル(約8,467円)より25%安い」と説明した。
だが、進歩・中道自由主義系の雑誌「The New Republic」の分析によると、2024年と2025年のウォルマートのホリデーディナーは構成品目が大きく異なっていたという。
2025年ホリデーディナーは15品目だったが、2024年版は29品目が含まれていた。昨年の価格調査には含まれていたピーカンパイ、クランベリーソース、ホイップクリーム、ミニマシュマロ、コーンマフィンミックス、サツマイモ、セロリ、タマネギなどが、今年の調査リストから除外されていた。
つまり、調査対象の品目数をほぼ半減させたうえで「物価が25%下がった」と宣伝していたことになる。

さらに、同一品目で比較しても問題があった。
昨年は有名ブランド製品を基準にしていたが、今年は多くがウォルマートのプライベートブランド(PB)商品に置き換えられていた。PB商品は一般的に有名ブランドよりも安価である。
ウォルマート公式サイトの価格に基づくと、2024年のホリデーディナーは8人分で55ドルで1人あたり約7ドル(約1,077円)を少し下回る価格だ。一方、昨年と同じ構成で今年の価格を適用した場合、税抜きで約53ドル(約8,163円)となり、前年との差はほとんどないという。
トランプ大統領の投稿は、選挙惨敗の責任回避を狙ったものとみられる。
トランプ大統領は5日(現地時間)、共和党議員らとの会議で「勝利するためには自らの経済実績を強調すべきだ」と主張していたという。
しかし投票結果は「トランプ経済への審判」という民意を示した形になった。
関税政策による物価上昇や、米国史上最長となった連邦政府閉鎖(業務停止)で公務員が給与を受け取れない事態を招いたことなどが、民主党候補への追い風となったとの分析が出ている。














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