米政府機関の一部閉鎖が議会の予算案処理の難航により9日で史上最長の40日目に達するなか、米上院は同日夜、解除に向けた超党派予算案の審議手続きに入った。
上院はこの日夕方、下院発のつなぎ予算案を修正し、政府資金の手当てを2026年1月30日まで延長する一方、農業・軍事建設・議会機関などの3分野については来会計年度末まで予算を確保する形で、手続き採決に入った。今回の合意案は共和・民主両党中道派が主導したもので、強制的人員削減の撤回、連邦公務員の復職と未払い給与の遡及支給に加え、低所得者向けの食料購入補助制度「補助的栄養支援プログラム(SNAP)」について来年9月までの財源確保が盛り込まれている。
ただし、協議の最大の争点となっていた「医療保険制度改革(オバマケア、ACA)」の補助金延長は最終案に盛り込まれなかった。その代わり、上院共和党指導部が12月第2週までにACA延長法案を採決に付すことで折り合った。このため、民主党内では賛否が割れている。チャック・シューマー上院民主党院内総務は「これは『ノー』だ。国民は医療保険を必要としている」と反対姿勢を崩しておらず、ハキーム・ジェフリーズ下院民主党院内総務も「延長なき約束だけでは受け入れられない」と述べた。一方、ティム・ケイン、アンガス・キング、マギー・ハッサンら中道派議員は「40日間に及んだ政府閉鎖の影響は深刻だ」として賛成に回る考えを示した。ケイン議員は「不当に解雇された公務員の復職と賃金保障が確保された」と説明した。
現在の上院の構成では、共和党52議員に加え、民主・無所属から最低8議員が賛成に回れば可決が可能となる。トランプ大統領も同日、ホワイトハウスで記者団に対し「政府閉鎖は終わりに向かっている。すぐに分かるだろう」と語った。上院での手続き採決、本会議通過、下院での再可決、大統領署名を経れば、政府業務は正式に再開される。米主要メディアは、政府閉鎖が数日以内に解除される可能性が高まっていると報じている。
一方、政府閉鎖の影響はさらに広がっている。9日だけで全米の主要空港では2,000便以上が欠航し、航空交通の混乱が深刻化した。政府は、疲労と無給勤務が続く航空管制要員の安全確保を理由に、全米40空港で運航便の4%削減を指示しており、来週には削減幅が10%に拡大する可能性も指摘されている。
また、政府閉鎖の長期化により、ロサンゼルスやニューヨークなど大都市では「フードバンク」の利用者が急増している。一部の州はSNAP削減通告に対抗し、連邦政府と法廷闘争を進めながら住民支援を継続している。
















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