
トヨタ自動車が主力車種の新車販売サイクルを従来の平均7年から9年に延長すると日本経済新聞(日経)が17日に報じた。ソフトウェアのアップデートを中心に車両価値を維持し、電動化やソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)開発に経営資源を集中するための措置だ。新車投入間隔を延ばすことで、新型モデルの頻繁な発売によって生じていた車体価格の急激な下落も緩和する戦略だ。
トヨタは車両機能をソフトウェアの追加・更新を通じて向上させるSDV概念を積極的に導入している。新しい機器搭載なしでも性能を改善できるため、外観を含む全面改良(フルモデルチェンジ)を短期間に繰り返す必要があった従来の自動車ビジネスモデルが転換点を迎えると見られる。2024年に認証不正問題が明らかになり、開発スケジュールと認証体制を再検討した点もサイクル延長の背景になっている。
平均9年という新車周期はトヨタにとって異例に長い。トヨタの主力車種は過去約5年周期で全面改良が行われていたが、車両の高性能化が進んだ2000年代以降は約7年に延びていた。最近ではSUV「RAV4」を約7年ぶりに刷新し、2025年度中に発売する計画だ。車種ごとに周期は一部調整される見込みだ。
トヨタは人気車種に注文が集中し、納期が長期化したり一時的に受注を中断する事例が増えている。例えば「ランドクルーザー」は注文後納車まで数年かかり、納車時点で次期モデルがすでに登場している場合もある。販売期間が長くなれば人気モデルの購入機会が拡大する一方、車両価値の下落幅が減少し、中古車価格の維持にも有利だという分析がある。
モデル販売期間延長に合わせてトヨタは販売店に適用される卸価格体系も再検討する。これまでは発売後時間が経つにつれて段階的に卸価格を引き下げる方式が一般的だった。今後は車種ごとの特性や販売状況に応じてより柔軟な価格設定を適用する方針だ。現在、販売店は卸価格と実際の販売価格の差(マージン)を主要な収益源として活用し、一部は顧客向けの価格引き下げに充てている。卸価格が下がるほどマージンは拡大するが、販売難度が高まるにつれて価格引き下げ幅も大きくなる構造だ。
国内メーカーの中でホンダは6~7年周期の全面改良が一般的で、日産は10年近い長期サイクルの事例も多い。テスラは3~5年、中国の新興電気自動車メーカーは1年単位のモデル変更も登場するなど競争構図は多様だ。トヨタは主力車種に限りサイクルを延長するが、中国など地域限定モデルは現地市場特性に合わせて開発を進める計画だ。
業界では自動車モデル周期の変化が鉄鋼など素材企業の開発戦略にも影響を与えると見ている。全面改良だけでなく部分変更時にも新素材採用が増える可能性があるとの見方があると日経は伝えた。















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