
英国公共放送 BBC の元社長で、現在は英国上院議員のトニー・ホール氏が16日、ドナルド・トランプ米大統領が BBC を相手取り最大50億ドル(約7,760億円)規模の損害賠償請求を示唆したことについて、「支払うべきではない」と明言した。
ホール氏は BBC One の番組「Sunday with Laura Kuenssberg」のインタビューで、「トランプ大統領にいかなる金銭を支払うことにも同意すべきではない」と述べ、「受信料で運営される公共放送が公的資金を差し出すのは適切ではない」と強調した。
同氏は2020年まで7年間、BBCのトップを務めていた。
問題となっているのは、BBC が2024年米大統領選を前に放送したドキュメンタリー番組「パノラマ」。「トランプ大統領:2度目のチャンスか?」という回で、2021年1月6日の演説映像を編集し、米議会襲撃事件を扇動したかのように見える構成になっていたとして批判を浴びた。
この問題が拡大し、ティム・デイビー社長とニュース部門トップのデボラ・ターネス氏が辞任している。さらに BBC「Newsnight」(2022年放送)でも同様の編集があったとの追加疑惑が浮上した。
BBC は13日、トランプ大統領に公式謝罪を行い、問題の映像を再放送しないと約束したものの、「法的責任はない」として賠償には応じない方針を示した。
これとは別に、シャミール・シャ会長もホワイトハウスへ謝罪の意を伝えた。
しかしトランプ大統領は翌日、記者団に対し「来週にも10億〜50億ドルを請求することになるだろう」と語り、法的措置を取る構えを強調した。
同氏は英 GBニュースのインタビューでも、「信じ難い編集だ」と BBC を非難し、「美しい演説を醜いものに変えた。フェイクニュースという言葉では足りない。腐敗そのものだ」と述べ、強い不快感を示した。
ホール氏は問題映像について「誤解を招く編集であり、深刻な誤り」と認めつつ、「BBC記者たちの真摯な努力や公正性への信頼が揺らぐことを懸念している」とも語った。













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