米国、サウジへのF-35輸出を承認 米中の軍拡競争が一段と激化

中国がアラブ首長国連邦(UAE)で開催された大規模エアショーで最新型のドローンや戦闘機を相次いで披露し、中東市場を舞台に米国との軍拡競争を加速させている。
18日、香港紙『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)』によると、中国国有の防衛企業である中国航空技術輸出入公司(CATIC)は、自社の輸出向け中高度・長時間滞空型ドローン「翼竜-X」の実物大モデルを、前日にUAEで開幕したドバイ航空ショーに出展した。
隔年で開催されるドバイ航空ショーは、1,500社以上の航空・防衛関連企業が参加する、中東・北アフリカ地域最大規模の航空ショーである。
中国国営の通信社『新華社』によれば、商業用・軍用ジェット機や無人航空機など200機超が展示され、中国企業100社が出展したという。
CATIC関係者は『SCMP』に対し、近年の武力衝突を通じてドローンの重要性を痛感した中東諸国の間で、「翼竜-X」が大きな関心を呼んでいると説明した。匿名のある関係者は「『翼竜-X』は空対空ミサイルと空対地ミサイルの両方を発射でき、対艦攻撃能力も備えている」と述べた。
「翼竜-X」の縮小モデルは2023年のドバイ航空ショーや今年のパリ航空ショーでも展示されたが、実物大モデルが中国国外の展示会に出品されたのは今回が初めてである。
CATICはこのほか、最新戦闘機「J-10CE」とステルス戦闘機「J-35A」の縮小モデルも公開した。
中国の第3世代戦闘機として1980年代に開発された「J-10」シリーズは、近年4.5世代機の「J-10C」へと改良が進み、その輸出型が「J-10CE」である。
この戦闘機には高性能エンジンやアクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダー、長射程空対空ミサイル「PL-15」が搭載されている。
中国以外で「J-10C」を運用しているのはパキスタンのみだ。
パキスタンは今年5月、紛争地カシミール周辺でインド軍機と衝突した際に、フランス製4.5世代機「ラファール」などインド空軍機を撃墜し、その際に用いられたのが「J-10C」だとされる。
『SCMP』は、エジプトとインドネシアが「J-10C」の導入を検討しており、とりわけインドネシアは42機を約90億ドル(約1.4兆円)規模で購入する計画があると伝えた。中東諸国との契約については明らかにしていない。
また、併せて展示された第5世代戦闘機「J-35A」は、中国が10年以上の開発期間を経て昨年の珠海航空ショーで公開したもので、「J-20」に続く中国の2機目の第5世代ステルス戦闘機である。
今年「J-35」が実戦配備されたことで、中国人民解放軍は米国に次ぎ、2種類のステルス機を運用する世界で2番目の軍となった。

「J-35A」は電磁式カタパルト(EMALS)を採用した中国の新型空母向けに開発された艦載機「J-35」の陸上型モデルである。
輸出が禁止されている「J-20」とは異なり、中国は「J-35」の海外販売を積極的に売り込み、今年2月のアブダビ国際防衛展示会や6月のパリ航空ショーでも「J-35」を披露した。
このほか、中国の高等練習機「L-15」や、中国初の大型商用旅客機「C919」もドバイ航空ショーでデモ飛行を披露した。
同じ会場では、米ロッキード・マーティンの「F-35」もデモ飛行を行い、注目を集めた。
航空ショー開幕日の17日、ドナルド・トランプ米大統領は米国がサウジアラビアに「F-35」を販売する方針を明らかにしたが、依然として協議や承認手続きが残されている。
サウジは米国製兵器の最大の購入国だが、中国との軍事協力や情報活動を通じた先端技術流出への懸念から、米国はこれまで「F-35」輸出に慎重な姿勢を崩していなかった。
トランプ大統領は1期目の2020年、UAEに「F-35」を50機販売すると議会に通知したものの、2021年に就任したジョー・バイデン前大統領が戦略・安全保障上のリスクを理由に契約を停止し、実際の取引には至らなかった。














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