
欧州で広く運行されている中国製の電気バスや、太陽光パネル用インバーターが外部から遠隔操作される可能性が確認され、欧州各国が対策に動いている。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)などによると、ノルウェー・オスロの公共交通運営会社Ruterは今夏の実験を通じて、中国メーカー「宇通」製の電気バスにバックドア(秘密のアクセス経路)が存在するとの結論に至った。
外部のデジタル信号が遮断される山岳トンネル内で、中国製とオランダ製の電気バスを走行させたところ、宇通製の車両だけに無線によるソフトウェア更新機能が確認されたためだ。専門家によると、メーカーはSIMカードを使って遠隔でソフトウェアのインストールや更新を行うが、この過程で外部ハッカーがバッテリーや電源供給の制御システムにアクセスし、車両の遠隔操作につながる恐れがあるという。
電気バスの登録台数で欧州1位だった宇通製車両が公共交通システムの脅威となり得る事実が明らかになると、欧州に衝撃が走った。電気バス専門メディアSustainable Busによれば、宇通は昨年、欧州の電気バス市場で登録台数が前年比99.8%増、483台から1,092台となった。
欧州各国は対応を急いでいる。ノルウェーは車両からの信号送信遅延やファイアウォール開発などにより脆弱性の解消を試みている。デンマークと英国も中国製車両の調査に着手した。英国のアリシア・カーンズ下院議員は最近の討論で「中国が遠隔操作でバスを停止させ、交通システムを麻痺させることができる」と警告した。
懸念は電気バスにとどまらず、太陽光インフラ設備にも広がっている。欧州議会の議員約30人は先月、中国製太陽光パネル用インバーターが電力システムの妨害に悪用される可能性があるとして、欧州連合(EU)に警告書簡を送った。欧州太陽光産業協会によると、中国を含む12のインバーター供給企業が欧州内に設置された太陽光パネルに遠隔でアクセス可能な権限を持っており、システムがハッキングされた場合、電力網の安定性に重大な影響を及ぼす恐れがあるという。
この状況を受け、リトアニアは昨年、中国など国家安全保障上の脅威とみなされる国のメーカーが大規模な太陽光設備に遠隔アクセスすることを禁じる法案を可決した。欧州の太陽光パネル用インバーター市場では、中国の通信機器大手ファーウェイ製品が首位を占めている。ファーウェイは2023年にEUの通信インフラ分野で「高リスク供給業者」とされたが、電力や再生可能エネルギーなど他の分野では依然として高いシェアを維持しているとWSJは伝えている。


















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