平時は1,500台の地下駐車場→戦時は2,500床の非常病院
外部の酸素・電気・ガスが途絶えても3日間自立稼働

駐車場を改造した病院ではなく、最初から病院として設計された駐車場
イスラエルのテルアビブから北へ1時間30分ほど走ったところにある北部最大の医療施設ランバム病院。イスラエルの3大都市であるハイファ市に位置するこの病院は、イスラエル唯一かつ世界最大規模の「要塞型地下病院」として知られる。
ランバム病院耳鼻咽喉科副部長で「バイオディザイン」ディレクターのヨナ・ワイズブーフ氏は、12日(現地時間)に取材陣に「普段は1,500台規模の駐車場として使われているが、有事の際には最大2,500人の患者を収容できる」と紹介した。

駐車場の壁面に酸素・電気・ガスの「医療パネル」を埋め込み…帝王切開などの手術室も4カ所
2014年に完成した要塞型ランバム病院は地下3階、総面積20万㎡の規模だ。地盤が海面下9mにあるため、建設当時100台以上のポンプで2年間水を汲み上げなければならなかった。床は4m厚のコンクリートで作られている。
ランバム病院の駐車場が最近「病院」に変身したのは、6月13日のことだ。イスラエルがイランの核施設を攻撃したため、イランが報復措置としてイスラエルの軍事施設と都市にミサイルを撃ち込んできたからだ。

ランバム病院のワイズブーフ副部長は「イランの爆撃の際、海軍の助けを借りて15時間で1,000人以上の患者を地下に移した」と述べ、「車両の退去→病床・パネルの接続→衛生モジュールの開放まで進めるのに1日もかからなかった」と語った。初期の予想転換時間は3日だったが、わずか15時間で病院のセッティングを完了したという。

彼は「近隣の他の病院3カ所の患者までも全て移送し、地下2、3階の合計2,500床を運営した」と述べ、「患者と医療スタッフが全員地下で2~3週間生活しながら手術と外来診療を全て継続した」と付け加えた。
記者が地下駐車場に降りてみると、照明、空調、排水、酸素供給、透析システム、集中治療室(ICU)に手術室まで完璧な病院施設が整っていた。

一見外見は他の駐車場と変わらないが、駐車車両の間に病床区分のための数字と方向表示シールが目に入った。また、酸素・ガス供給管、移動式壁体、シャワールームはもちろん、便器を設置するだけでトイレに変わる空間も備えている。車両が通る区間にも仮設の壁を立てて病床を追加配置できるようにし、モニタリングシステムは上部グリッド(線)から下ろして接続できるようにした。

手術室エリアに行くと、ドアが自動で開閉された。クリーンエアシステムで地下でも手術室4つが稼働可能だ。「戦争中には帝王切開手術を5分以内にしなければならない状況が多いため、帝王切開手術室も完備した」と病院側は説明した。各区画ごとに頑丈な遮断壁が降りてきて、単なる爆撃だけでなく化学兵器攻撃にも耐えられる。

照度と空調システムは駐車場モードでは10%しか使用しないが、病院モードでは100%に切り替わる。壁と柱の後ろには酸素、吸引器、モニター接続ポートなどの医療パネルが埋め込まれており、非常時にはカバーを開けるだけでICU級の処置が行える。
ワイズブーフ副部長は「外部の電力・水道・酸素・ガスが途絶えても、自家発電機と備蓄物資を通じて最大3日間独立運営が可能だ」と説明した。
駐車場の床も、埃が舞う一般の駐車場の床材ではなく、病院内部に使用される「弾性床材」を使用して衛生問題を解決した。

また地下2階には戦時に職員の子供たちを見守ることができる保育施設(450人収容)も備えている。
ランバム病院は2006年の第二次レバノン戦争の際、爆撃で心臓手術ができなくなったことが設計の出発点となった。戦時対策という「必要から生まれた革新」で、2007年に「要塞型地下病院」プロジェクトに着手し、2010年に着工、2014年に完成および機能訓練まで完了した。

ワイズブーフ副部長は「戦争中にも医療を止めないための備え」とし、「ビジョンを持ったリーダーの決定が効果を上げた」と述べた。彼は「初期には完全に病院と寄付金で推進され、政府が後から支援した」とし、「私たちは駐車場でも命を救っている」と強調した。
ランバム病院の「ニーズ中心の革新」…発明者は収益の75%を受け取る仕組み
ランバム病院のもう一つの特徴は医療技術革新の構造化されたシステムだ。
ワイズブーフ副部長は「ランバムの革新は単なる研究ではなく、国家成長のエンジン」だと強調した。彼は「私たちの哲学はニーズ中心の革新」であり、「アイデアやソリューションを先に出すのではなく、臨床現場のニーズをまず把握すること」だと述べた。

ランバム病院は6,500人の全職員が革新の言語を共有するよう内部教育も義務化した。1年課程で運営されるフェローシップは医師(2名)、エンジニア(2名)、ビジネス専門家(2名)が1チームを組み、現場の問題を発掘し解決策を開発する。
病院はまた2015年に「ランバム・メドテック(Rambam-MedTech)」という技術移転会社を設立し、職員の研究・特許を管理している。研究者が発明した医療機器と技術の知的財産権は政府所有だが、実質的な管理と事業化はこの会社を通じて行われる。
会社関係者は「毎年100万ドル(約1億5,635万円)程度の小規模投資で試作品と臨床試験を行う」とし、「発明者は収益の75%を分配される」と述べた。これまでに8つのスタートアップ、15のスピンオフ会社が設立され、26以上の特許、30件以上のライセンス契約を保有している。














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