
フランスのファビアン・マンドン統合参謀総長が、ロシアの脅威に備える必要性を訴える発言の中で「子どもたちを失う覚悟」に言及したことで、政界に論争が広がっている。野党は「不必要な恐怖をあおる発言だ」と反発し、政府は「発言の文脈が歪められている」として沈静化を図っている。
仏紙『ル・パリジャン』は21日(現地時間)、マンドン総長が18日に開かれた年次全国市長会議で、ロシアとの衝突の可能性に触れつつ、精神的な備えの重要性を強調したと報じた。
マンドン総長は「我々にはロシア政権を抑止するための知識と、経済・人口面の能力がある」とし、「欠けているのは、自らを守るために苦痛を受け入れる精神力だ」と指摘。さらに「子どもたちを失うことや、防衛生産を優先することによる経済的苦しみを受け入れる覚悟がなければ、わが国は揺らぐ」と警告し、「その備えがなければ危険にさらされることになる」と述べた。
また市長らに対し、「地域社会でこの問題を議論すべきだ」と呼びかけ、地方指導者の役割の重要性も強調した。マンドン総長はこれまでも「フランス軍は3〜4年以内にロシアと衝突する可能性に備えるべきだ」として再軍備の必要性を訴えてきた。
野党「戦争準備を促す権限はない」…「恐怖あおり」
発言が伝わると、野党は直ちに反発した。極左政党「不服従のフランス(LFI)」のジャン=リュック・メランション党首はX(旧Twitter)に、「大統領も政府も議会も決定していない戦争準備に市長を動員するよう指示する権限は彼にはない」と批判し、「外交の失敗によって生じる犠牲を事前に計画する権限もない」と強く非難した。
また、極右・国民連合(RN)のセバスチャン・シュニュ副代表もフランスのニュース専門放送局『LCI』で「これは恐怖のあおりだ」とし、「彼がこのような発言をする正当性はない。もし大統領の指示によるものであれば、それはより深刻な問題だ」と批判した。
政府「文脈の歪曲だ…軍司令官として当然の発言」
これに対し政府側は、発言が過度に政治的に解釈されているとして擁護に回った。
カトリーヌ・ヴォートラン国防相はXに「フランス統合参謀は持続する脅威について語る十分な正当性がある」とし、「市長が現状を認識することは実際に重要だ」と強調。マンドン総長の発言について「国家のために日々命を賭している若い兵士たちをよく知る指揮官による軍事的言辞だ」と説明した。
また、モード・ブレジョン政府報道官もフランスの民間テレビ局『TF1』のインタビューで「発言は文脈の中で理解されるべきだ」と述べ、「彼はフランス軍に従事するすべての国民の子どもたちについて言及した」と釈明。政界に対し「統合参謀総長への配慮を求めたい」と述べた。














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