
米連邦捜査局(FBI)のカシュ・パテル長官(45)が、恋人のカントリー歌手アレクシス・ウィルキンス氏(27)を守るため、対テロなどの特殊犯罪に投入される特殊部隊(SWAT)の戦術要員と政府専用機を動員し、公的資源を私的に使用したという論争が拡大している。
23日(現地時間)、米ニューヨーク・タイムズ(NYT)などによると、パテル長官は今年春、ジョージア州アトランタで開催された全米ライフル協会(NRA)年次総会で国歌を歌ったウィルキンス氏のため、アトランタ支部の特殊部隊要員2名を現場に派遣したという。2名の要員は会場が安全だと判断し、公演終了前に撤退した。しかし、パテル長官は「彼女が警護なしで残された」と指揮官を叱責したという。
これとは別に、FBIの特殊チームは、ここ数か月間、ウィルキンス氏が居住するテネシー州ナッシュビルを含むユタ州ソルトレイクシティ、ネバダ州ラスベガスなどで彼女の公演・政治イベント・居住地の警護に投入されたという証言も出ている。ソルトレイクシティの場合、ドナルド・トランプ米大統領の側近チャーリー・カーク氏殺害事件の余波で長時間任務を遂行した要員がすぐウィルキンス氏の警護に再配置されたという。元・現職のFBI要員は「高リスク任務のために訓練された特殊部隊を長官の恋人保護に投入するのは極めて異例だ」と指摘している。
パテル長官の政府専用機使用も論争を呼んでいる。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)などは、8月にパテル長官が政府専用機を使用してスコットランドのリゾートで休暇を過ごし、先月テキサスにいる友人の牧場を訪れる際にも専用機を使用したと報じている。
さらに、先月25日にペンシルベニア州で開催されたレスリングイベントでは、パテル長官がウィルキンス氏の公演を見るために専用機で移動した事実が航空機追跡記録を通じて確認された。この過程で米国の政府閉鎖(一時的な業務停止)中、個人の予定に専用機を使用したという批判が提起されると、パテル長官は航空機の識別番号を隠せなかった高官を解任したという。
パテル長官側はウィルキンス氏が「数百件の信頼できる殺害脅迫を受けており、保護措置が必要だ」とし、専用機の使用と警護は前任の長官たちと同様のレベルだと主張している。彼はジョン・エドガー・フーヴァー前FBI長官以来初の未婚FBI長官だ。そのため、長官配偶者に伝統的に提供されていた保護サービスの慣行がそのまま適用されない状況にある。
そのため、トランプ大統領の支持層内でも「正式な配偶者でもないのに納税者が費用を負担すべきか」という皮肉が出ている。NYTはパテル長官が就任前の2023年に、前任のクリストファー・レイ前FBI長官の専用機使用を批判し、「休暇に政府が出す専用機は必ずしも必要ではない」と述べており、「ダブルスタンダード」の指摘も出ている。
インド系ニューヨーク出身でフロリダ州マイアミ地域で公共弁護人としてキャリアをスタートしたパテル長官は、その後法務省対テロ部門などで勤務した後、下院情報委員会、ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)、国防省の要職を経てきた。保守メディアのフォックス・ニュースに頻繁に専門家パネルとして出演し顔を知られているパテル長官は、2月にトランプ政権のFBI長官に抜擢された。














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