中国の矛先が日本へ
「韓国叩き」終了のシグナル

最近、外交筋では「韓米日の交渉構図が完全にひっくり返った」という話が急速に広まっている。日本が数十年かけて米国に食い込み、ようやく手にした核心的な安保利益を、イ・ジェミョン政権がたった一度の交渉で勝ち取ったという分析が出ているからだ。
作家のホン・デソンは今回の合意を次のように評している。「日本が屈辱的な土下座を強いられた交渉の場で、韓国は核潜水艦という最高レベルの戦力カードを持ち込み、実利までしっかり確保した」。かつて韓国の防衛費分担を強硬に迫っていたトランプが一転して核潜水艦建造を承認した背景には、韓国が持つ造船・製鉄・製造業という米国に欠けている産業レバレッジをフル活用したことがあるという。

特筆すべきは、ジョージア州拘束事案まで交渉カードとして持ち出し、米国の急所を的確に突いた点だ。加えて、イ・ジェミョン大統領の計算された儀典戦略も功を奏した。トランプが何より重視するのは「数字」だと見抜いたうえで、3000億ドル超という大きな看板を掲げながらも、実質的には韓国が技術と戦力を確保する構造に仕立て上げたのである。日本が提示した数字が事実上の”献上”だったとすれば、韓国は数字の裏にある実利を最後まで手放さなかったわけだ。
最大の成果は、核潜水艦の承認である。ホンデソンはこれを「事実上の核戦力承認」と位置づける。核潜水艦とは、たとえ国家が滅亡しても海中で生き延び、敵を最後まで道連れにできる”最終抑止力”だ。こうした戦力を米国が韓国に認めたことは、日本が保有する”核潜在力マックス”に匹敵する戦略的切り札を得たに等しいという。長年の自民党政権により「約束を違えない国」として米国の信頼を得てきた日本だが、今回の交渉では支持率低下を恐れるあまり党の利益を優先し、国益を売り渡したとの手厳しい批判にさらされている。

一方、韓国は最後まで”耐え抜く”戦略で勝負に出たとされる。トランプ第2期政権が始まった頃、韓国は弾劾騒動や戒厳令議論で一時的な政治空白に陥っていた。その間、米国は各国との摩擦で自ら消耗していった。結果として韓国の交渉順番が回ってきた時には、韓国側に粘る余地が生まれており、イ・ジェミョン政権はその隙を巧みに突くことで、核潜水艦・核再処理権まで事実上のステップアップを果たしたという構図だ。
中国の動きも興味深い。韓国に対して”戦狼外交”や暴言を浴びせていた中国が、もはや韓国を揺さぶれないと悟り、矛先を日本へと転じたとの分析が浮上している。日本の首相に「首を切り落としてやる」といった発言が飛び出し、中国全土で反日映画『73日』がヒットする状況は、中国が戦略ターゲットを切り替えた明確なシグナルとみられている。いわば”韓国叩きシーズン1″が終わり、”日本叩きシーズン2″が始まったということだ。

ホン・デソンは、トランプ時代における韓国の生存戦略を一言で「耐え抜くこと」と総括する。米中の狭間という地政学的リスクは、同時にチャンスにもなり得る。今回の交渉はまさにその可能性を示した象徴的な事例だという。そして最後に、米国に対して継続的に”歴史”を売り込む必要性を強調する。日本の民主主義は敗戦国として与えられたものだが、韓国は米国とともに血を流し、自らの手で民主主義を築き上げた”真の同盟国”である——その事実を繰り返し刻み込んでいかねばならない、と。
















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