海軍訓練中に無人艦が「機能停止」 ウクライナ配備ドローンは電波妨害に弱点露呈
迎撃訓練で火災も発生 アンドゥリル側「失敗を前提とした開発モデル」

企業価値305億ドル(約5兆円)と評価されるAI防衛企業アンドゥリル(Anduril)で、技術的欠陥や安全上の問題が相次いで発生していると、米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』が27日(現地時間)に報じた。
『WSJ』が入手した内部文書などによると、今年5月、カリフォルニア沿岸で実施された米海軍の訓練中、アンドゥリルのソフトウェア「ラティス(Lattice)」を搭載した無人艦艇10隻余りが誤作動を起こした。
自動安全装置が作動したこれらの艦艇は制御命令に従わず海上で停止し、衝突などの危険が高まったため、軍は訓練を中断。問題の艦艇を夜通し海岸へ曳航するなどして対応に追われた。
海軍関係者は訓練後の報告書で「アンドゥリルは軍を誤導した」と指摘し、「ソフトウェア設定を直ちに修正しなければ、人命損失の可能性も懸念される」と記した。
これに対しアンドゥリル側は、事故はラティスの欠陥ではなく艦艇メーカー側のソフトウェアに起因すると反論したが、訓練に詳しい複数の関係者は「ソフトウェアの実装責任はアンドゥリルにある」と『WSJ』に語った。
8月には、対ドローン迎撃システム「アンビル(Anvil)」がオレゴン州で行われた迎撃試験中に墜落し、ペンドルトン空港周辺で約22エーカー(約8万9,000㎡)に及ぶ火災が発生した。
事故報告書によると、アンドゥリルは自社車両で消火を試みたものの鎮火に至らず、最終的に地元消防の車両3台が出動して鎮火した。

また、空軍から数百万ドル(数億円)で開発を受託した無人戦闘機「フューリー(Fury)」の試験飛行では、試験機器のネジが吸気口に吸い込まれ、エンジンが損傷する事故も発生した。このため、夏までに完了予定だった初飛行は10月末へとずれ込んだ。
さらに、ロシア・ウクライナ戦争に投入されたアンドゥリル製ドローンでは、ロシア軍の電波妨害攻撃に脆弱であることが問題となり、目標攻撃に失敗して墜落を繰り返したことから、昨年には使用が停止された。
米シンクタンク「ランド研究所」のジョナサン・ウォン上級政策研究員は、長年の経験を通じて現場対応能力を培ってきた大手防衛企業と比較し、「アンドゥリルは制度的に、こうした対応を担う準備が十分に整っていない」と指摘した。
これに対しアンドゥリル側は、「我々は迅速に行動し、継続的にテストを重ね、頻繁に失敗しながら改善を繰り返す、高度に反復的な技術開発モデルを採用している。これは我々が引き受けているリスクで、実際に多くの失敗を経験している」と説明した。
アンドゥリルは、VR企業Oculus(オキュラス)の創業者として知られるパーマー・ラッキー氏が2017年に設立した企業で、AIベースの自律型兵器システムおよびそれを制御するソフトウェアの開発を主力としている。
社名はファンタジー小説『指輪物語』に登場する名剣に由来する。今年6月には、PayPal共同創業者ピーター・ティール氏のファウンダーズ・ファンド(Founders Fund)が主導した投資ラウンドで25億ドル(約4,000億円)を調達し、企業価値は305億ドル(約5兆円)と評価された。













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