
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナとの戦争終結に向けてドナルド・トランプ米大統領が提示した和平構想を「真剣に議論する用意がある」としながらも、ウクライナ軍がドンバス地域(ドネツク州・ルハンシク州)から撤退しなければ、武力で同地域を占領すると警告した。
27日(現地時間)、BBCやロイター通信によると、プーチン大統領はキルギス訪問中に記者団の取材に応じ、米代表団が来週初めにもモスクワを訪問する予定であることを明らかにした。そのうえで、「ウクライナ情勢の解決に向けた米国の計画について、真剣に協議する準備は整っている」と述べた。
一方で、「ロシアが領有権を主張する地域からウクライナ軍が撤退した場合にのみ、ロシア軍は武器を置く」と強調し、「もし撤退しなければ、我々は軍事力によって達成することになる」と述べた。さらに、ウクライナ側が「最後の一人まで戦う姿勢を見せている」とした上で、「ロシアも原則的には同様の覚悟ができている」と発言した。
トランプ大統領の和平案については、「現時点で正式な合意文書は存在しない。今後の協定の土台になり得るという点では同意するが、最終版ではない」とした。併せて「外交的表現や具体的文言に関して、追加協議が絶対に必要だ」と強調した。
この和平案は当初、ロシアに有利な内容の28項目として作成されていたが、スイス・ジュネーブでのウクライナとの協議を経て19項目に縮小・修正され、ロシア側に伝達されたとされる。ただし、ドンバス地域の扱いなど機微な問題については、両国首脳間の最終判断に委ねられている。

ロシアはこれまで、クリミア半島やドンバス地域など、軍事侵攻によって占領したウクライナ領土の法的承認を求め続けてきた。米国主導の和平交渉では、終戦条件としてドンバス全域の支配権移譲を要求している。
プーチン大統領はこの日の会見で、ロシア軍が現在、ドネツク州の激戦地ポクロウシクおよびミルノフラード周辺でウクライナ軍を包囲しつつあり、さらにハルキウ州のボウチャンスクやシヴェルシク方面でも前進していると主張した。ただし、ウクライナ側はこれを否定している。
またプーチン大統領は、「ロシアはウクライナとの合意を望んでいるが、現時点では法的に不可能だ」と述べ、ゼレンスキー政権の正統性を改めて否定した。「現ウクライナ指導部には正統性がなく、彼らと文書に署名する意味はない」と批判した。
ロシア側は、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領が任期満了後も戒厳令を理由に大統領選挙を実施していないことを問題視し、現政権を正式な交渉相手と認めない立場を取っている。一方、ウクライナ議会は今年初め、2024年5月に任期が終了したゼレンスキー大統領の統治継続はやむを得ないとする決議案を採択しており、同大統領は選挙なしで職務を継続している。













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