
中国が初めて再使用型ロケットの発射に向けた準備を進めており、米国と中国の間で「再使用宇宙ロケット競争」の時代が始まる可能性があるとして注目されている。
香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は27日、甘粛省の酒泉衛星発射センターに、再使用ロケットの発射という新しい歴史を作る可能性を持った3基のロケットが並んでいると報じた。
発射を控えているのは、国営の長征12A、ランドスペース社の「朱雀3」、スペースパイオニア社の「天龍3」だ。3つの衛星は全て中国が大規模なインターネット衛星群を構築するための任務を担う予定とされる。
長征12Aと朱雀3は来月の打ち上げを目指しており、軌道投入後に1段目ロケットを約400km離れた地球へ帰還させる計画という。
天龍3も再使用を前提に設計されているが、初打ち上げでは着陸回収を行わない見通しとされる。
北京のロケット技術者は、長征12Aの技術的準備状況は朱雀3と同等だが、どちらが歴史的な初の再使用ロケット発射となるかは決まっていないと述べた。
ランドスペース側は10月、酒泉で朱雀3の燃料供給リハーサルとエンジン点火試験を完了したと発表した。朱雀3の打ち上げは、11月初めの「天宮宇宙ステーション」関連の破片事故を受け延期されていたという。
宇宙関連コミュニティに投稿された写真には、長征12Aが発射台から引き出され、主要エンジン試験を準備している様子が見られるとSCMPは伝えた。
サイズが似ていて、液体メタンと液体酸素を推進剤に使用する2基のうち、どちらかが軌道到達と安全な着陸回収に成功すれば、中国は米国に次ぐ「再使用ブースター実戦国」となる。
米民間宇宙企業スペースXは2015年、ファルコン9ロケットの回収に初成功した。
アマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏が率いる宇宙企業「ブルーオリジン」も13日、再使用ロケット「ニューグレン」の回収に成功し、フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地からNASAの火星探査用衛星「ESCAPADE」を打ち上げた。
朱雀3は高さ66m、直径4.5mでステンレス鋼で製造されており、1段目には「ティアンジャク12A」エンジン9基を搭載し、最低20回の再使用が可能とされる。再使用モードで朱雀3号は18トン級の衛星投入能力があり、中国の衛星群整備を大きく支えるとの見方がある。
一方、長征12Aは中国航天科技集団傘下の上海宇宙飛行技術研究院が開発した。地球低軌道へ12トンの打ち上げ能力を持ち、従来のケロシン燃料ロケット「長征12」を基に、燃料をメタンに変更し再使用を視野に設計された。
スペースXのイーロン・マスク氏は先月、朱雀3について「いくつかの主要指標でファルコン9を上回っている」とSNSで述べ「うまくいけば5年以内にファルコンを超える性能を持つ可能性がある」とも付け加えた。
ランドスペースは「朱雀X」の通称で知られる、より大型のロケットの開発も進めている。新型エンジン「ランヤン20」を搭載予定で、200トン級の同エンジンは9月までに30回以上の試験を行い、計画された推力の約半分に到達したという。













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