汚職疑惑でゼレンスキー大統領府長官が辞任 ウクライナの終戦協議に打撃の可能性

ウクライナ政権で「共同大統領」とも呼ばれた有力者、アンドリー・イェルマーク大統領府長官が、汚職疑惑を受けて電撃的に辞任した。米国がウクライナにとって受け入れ難い終戦案を強く押し出す中、交渉団を率いてきた中心人物の退場が今後の協議に影響を及ぼすとの見方が広がっている。
ゼレンスキー大統領は28日(現地時間)、汚職容疑で捜査対象となっていたイェルマーク氏が辞意を表明したと発表した。ウクライナ国家汚職対策局(NABU)と特別汚職対策検察(SAPO)は同日朝、エネルギー企業をめぐる不正疑惑に関連して同氏の自宅を家宅捜索した。
イェルマーク氏は知的財産権を専門とする弁護士として活動した後、約10年前に映画製作者としてゼレンスキー大統領と出会った。ゼレンスキー大統領が2019年に政権を握ると外交分野を統括し、翌年には大統領府長官に就任した。いわゆる「門番」として大統領周辺の実権を握り、ロシアの全面侵攻が始まった2022年以降は毎日のように大統領と協議し、主要政策の決定に深く関与してきた。
平和協議の調整、外交政策の立案、内閣人事、軍事作戦に至るまで、イェルマーク氏がほぼ全ての外交・政治・軍事分野で主導的役割を果たしていたことは広く知られている。トランプ大統領が提示した終戦案にロシア寄りの内容が含まれているとして、スイス・ジュネーブでマルコ・ルビオ国務長官と修正を協議したのも同氏だった。
一方、ルステム・ウメロフ国家安全保障国防会議書記が率いるウクライナ代表団は30日、トランプ大統領が滞在するフロリダ州マール・ア・ラーゴで、ルビオ長官、スティーブ・ウィトコフ大統領特使、トランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏と終戦協議を続ける予定だ。
ワシントン・ポスト(WP)は「今回のスキャンダルを米国とロシアが交渉材料として利用する可能性がある」と警戒感を示した。













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