プーチン大統領「欧州が戦うなら我々も準備」

ウラジーミル・プーチン・ロシア大統領は2日(現地時間)、ウクライナ戦争の終結に向けたアメリカ主導の取り組みを、欧州各国が妨げていると非難した。
AP通信やタス通信、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)などによると、プーチン大統領はこの日、ドナルド・トランプ米大統領の特使スティーブ・ウィトコフ氏と、義理の息子ジャレッド・クシュナー氏との会談に先立って出席した投資フォーラムで、「我々は欧州と戦うつもりはないと何百回も説明してきた。しかし欧州が我々と戦いたいのであれば、今この瞬間からでも応じる用意がある」と語った。
さらに、「欧州各国は和平の議題を掲げることなく、戦争の側に立っている」と指摘し、「トランプ大統領の提案に対して彼らが試みている一部修正は、和平プロセス全体を頓挫させることが目的だ」と主張した。
プーチン大統領は「ロシアが絶対に受け入れられない要求を突きつけていることを、彼らは十分承知している」としたうえで、「最近提示された修正案は到底受け入れられない」と強調し、こうしたやり方で、ウクライナ和平プロセスの崩壊についての責任をロシアに押しつけようとしていると批判した。
その後、プーチン大統領はクレムリンでウィトコフ特使、クシュナー氏らと約5時間にわたり停戦案を協議した。ブルームバーグ通信によれば、ロシア側からはユーリー・ウシャコフ大統領外交顧問やキリル・ドミートリエフ特使らが同席したという。
会談後、ドミートリエフ特使は今回の協議について「生産的だった」と評価したが、具体的な内容には踏み込まなかった。ウシャコフ顧問もロシアメディアの取材に対し、「まだやるべきことが多い。ウクライナ危機の解決に一歩近づいたとも、状況が好転したとも言えない」と述べている。
今回の会談では、米国とウクライナが先月30日にフロリダで行った高官協議で、停戦案をめぐり追加協議した結果をもとに議論が進められたとみられる。フロリダ協議では、先月23日にスイス・ジュネーブで両国が協議して28項目から19項目に絞り込んだ停戦案について、修正内容が整理されたと伝えられている。
当初、米国主導でまとめられた停戦案はロシアにあまりに有利だと受け止められ、ウクライナや欧州各国が強く反発していた。原案には、ウクライナ軍の兵力を60万人に制限することや、北大西洋条約機構(NATO)に加盟しないことを憲法に明記する案、東部ドンバス地域の放棄を求める条項などが盛り込まれていた。
その後、ウクライナと欧州側が反発した項目は削除されるか、戦争当事国の首脳会談で改めて協議する案件として棚上げされた。この過程で、ウィトコフ特使がウシャコフ顧問に対し、トランプ大統領との電話会談をめぐって助言するような通話内容が流出し、物議を醸した経緯もある。
停戦案はジュネーブ協議を経て19項目に絞られ、現在はこの「ジュネーブ案」を基礎として米国とウクライナの間で具体的な協議が進められているとされる。
一方でロシアは、自国に有利な要素が削られるような修正には応じられないとの姿勢を崩していない。ドミトリー・ペスコフ大統領報道官は2日、「我々は平和を望んでいる。ではなぜ、今すぐにでも平和協定に署名しないのか」と述べ、ウクライナ側の対応を牽制した。
これに対し、ウクライナと欧州側は、ロシアが和平交渉を意図的に引き延ばし、欧州諸国を「迂回」してトランプ政権との直接交渉に重心を移そうとしていると猛反発している。
NATO高官はWSJの取材に、「同盟は結束しており、ロシアには欧州でNATOを打ち負かせるほどの兵力も軍事力もない」と述べ、プーチン大統領の発言を一蹴した。













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