米運送機器企業の幹部「常時リストラ体制に入った」
11月のISM製造業景況指数は48.2%で前月から低下
OECD「今後、世界貿易の減速を招く恐れも」

トランプ政権が海外流出した雇用の国内回帰(リショアリング)を狙って強化した関税政策が、逆に米企業の人員削減圧力を高めかねないとの警告が出ている。関税によるコスト増が企業の雇用維持を難しくしているためである。
アメリカ・供給管理協会(ISM)が1日(現地時間)に発表した11月の製造業景況感指数でも、企業が抱える不確実性の拡大が明確に表れた。
運送機器業界のある幹部は「関税環境の変化に対応するため、常時リストラ可能な体制に入った」とし、「人員削減だけでなく、株主向け見通しの修正や、米国向け輸出品の海外生産拡大も検討している」と話した。
11月のISM製造業景気指数は48.2%と前月から低下し、景気減速傾向が続いた。特に雇用指数は44%まで急低下し、8月以来の最低水準となった。労働市場の緩やかな鈍化が続いていることを示している。
産業ごとの懸念も深まっている。石油・石炭業界の回答者は「2026年にはキャッシュフローの悪化と人員削減が避けられない」と述べ、「収益性を高めるため、一部事業部の売却や希望退職制度の実施を進めている」と語った。電気機器・家電産業の関係者からは「サプライチェーンの不確実性はコロナ禍当時よりも深刻だ」という声も出ている。
一方で、マクロ経済指標は堅調さを保っている。アトランタ連邦準備銀行は第3四半期のアメリカのGDPを年率3.9%成長と予測し、9月の雇用増加数も11万9000人と市場予測を上回った。それでも、アマゾンをはじめ大企業が相次いで大規模な人員削減に動いており、労働市場全体のリスクは高まっている。
国際機関も関税のリスクに警戒を示している。経済協力開発機構(OECD)は2日(現地時間)の報告書で「関税の影響はまだ本格化していないが、今後の世界貿易減速につながる可能性が大きい」と指摘。関税対象の米国輸入品の価値が急減していることから、「関税が需要を弱め、今後の貿易量もさらに抑制する」と分析した。
米連邦準備制度理事会(FRB)が最近公表したベージュブックでも、過去7週間で製造業の雇用が小幅に減少したと評価。複数の企業が「関税とその不確実性は依然として事業活動の大きな逆風だ」と回答している。
クリーブランド連邦準備銀行は、関税の影響が企業によって大きく異なる点も紹介した。ある大手小売企業は「関税で平均コストが前年に比べ約20%増えた」とした一方、別の企業は「関税の影響は最近落ち着いており、追加コストの増加は見込んでいない」と述べた。














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